女性も現場作業に。自社加工の雨樋を使った修理で雨漏りに強い屋根を
有限会社高島板金工業
北海道の十勝地方にある河東郡音更町南鈴蘭北の有限会社高島板金工業は、金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)や金属系外壁の工事、雨樋修理をメインに手掛ける工事店です。組合活動やSNSでの発信にも尽力し、「相談しやすい工事店」として地域に根差した活動を心掛けています。
工事店の想い
PERSON
多忙な両親を見て「板金は嫌だ」と感じた幼少期。転機は、自身の離婚と子どもたちの生活
有限会社高島板金工業(以下、高島板金工業)は、北海道の十勝地方にある河東郡音更町南鈴蘭北に拠点を構える金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)工事と雨樋(あまどい)修理を中心に手掛ける板金工事店です。代表取締役の高島望さん(以下、高島さん)は、創業者のお父さんから受け継いだ技術と経験を基盤に、女性が働きやすい環境の整備に尽力しています。
「板金業を知ったきっかけですか?父が創業者だからです。父は昔の人なのでね、15歳で家を出て手に職をつけて独立したと聞いています。私が小さい頃、家の隣に工場があったので板金を抑えるのをちょっと手伝いをしたことがありましたが、現場へ行ったりとかはなかったかな。母も屋根に上がり、とにかく朝から晩まで働いていた忙しい両親でした」
多忙な両親の元、共に暮らすおじいさんやおばあさんと家の手伝いをしながら育った高島さん。「普通の子どもでしたよ。何の変哲もない小学生だったなあ。国語が好きで算数は苦手。絵を描くのが好きだったけど、手先は驚くほど不器用なんですよ」と笑っていました。
高校は系列の短大へ入学しやすい進学コースを選択。これには深い理由がありました。中学生の時、一緒に暮らしていたおばあさんが寝たきりになり、お母さんが夜中の介護をする生活が続いていたからです。
「母は帰宅後に介護をする生活でした。私もお風呂や食事の手伝いをしていたんですが、高校の系列短大には介護福祉科があったので、私が介護福祉士の資格を取れたら母を助けられるし、祖母のケアもできるんじゃないかと思ったんです。実際、短大での勉強は面白かったです。こうすればもっとラクに動かせたんだ!と色んなことが勉強になりました。結局、祖母は短大を卒業する前に亡くなってしまいましたけどね。でもお年寄りは祖母だけではないし、いつか役に立つだろう勉強ができました」
今は板金工事店の経営者として働く高島さんですが、両親ともに1年中忙しく家にいないのが日常だったため、「子どもの頃はこんな忙しい仕事は絶対にやりたくないと思っていました。家族仲が悪かったわけではないけど、職人仕事は休みがなくて授業参観とかも来られなかったんですよ」と当時を振り返ります。しかし、転機になったのはご自身の離婚でした。
「私には子どもが4人いるんです。離婚当時は保育園児3人と小学生1人。小さな子が4人いたら、びっちり働けないから正社員では雇ってくれるとこがなくって。そんな時に父から『働くとこがないなら、うちを手伝え』と提案されたんです。そこはすごくありがたかったですね」
しかし家族だからゆえ、高島さんは経営者のお父さんとの距離感がつかめず、会社ではぶつかることが多かったそうです。他にも、背が小さいために足が届かなかったり、重たい物が持てなかったりと身体的な制約があり、現場では最初はかなりの苦労がありました。
「父とは意見がぶつかることも多かったと思います。でもやはり経験が豊富で、ここぞの決断力がすごくてね。父を見て、フットワークと決断力は、仕事をこなしていく上で必要なスキルなんだと思いました。私が現場で男の人と同じ仕事量がこなせないのはしょうがないので、重たいものは小分けにして運ぶ、歩くスピードを人より速める、そんな工夫で常にせかせか、1.5倍くらいのスピードで動き回って仕事を覚えていったんです」
代表に就任したのは、先代が怪我をして長期間現場に出られなくなったことがきっかけでした。そうして仕事をするにつれ、「後継者がいる」という事実が周囲の人への安心材料になるのだと肌で感じたそう。
「誰かが継ぐまでの間、それなら私がやりますという中継ぎの気持ちでやっています。『この会社には後継ぎがいる』、そんな事実で、まわりからすごく安心してもらえるんですよ。従業員の生活を守るためにも会社をやめるわけにはいかない、そう感じて本格的に経営に取り組むようになりました」
建設業界はいまだ男社会です。女性である高島さんが現場へ行くと、あからさまに「何にもわかっていない」という雰囲気を出されることもあるそうです。しかしそこに感情を揺さぶられては時間の無駄と考え、冷静な対応で現場がスムーズに進むことだけに注力しています。
「色々な人がいて色んな考え方もあるから、私は私のできることをしていくしかないと思っています。うちのスタッフにも女性がいます。私は子どもを育てながら仕事をする大変さがわかるので、そういう人たちの状況を理解して働く環境を整えてあげたいと考えています。中には『こんな良い会社はない』と言ってくれるスタッフもいます。代表取締役の仕事は大変ですが、組合の役員をやらせていただいて、『女でもこういう仕事ができるんだ』と男性の意識が変わってきたのを感じています。私が表に出ていくことで、そういう流れが生まれるならどんどん仕事を引き受けたいです」
今後は、高島さんが不在でも会社がまわる仕組みを作っていきたいと意欲的です。組合の仕事が増えるにつれ出張が多くなってきたため、現場のスケジュールをスタッフ自身が管理できるように体制を整えている最中だそう。そして高島さんの経営者としての一番の想いは、スタッフの生活を守ること。子を持つ親として、スタッフの子どもたちがすくすく育っていける環境を第一に考えたいと語ります。
「会社を大きくしたい野心は全くありません。スタッフの働く環境、そして会長の父から引き継いだ住宅工事の技術を若い職人に伝えること。私がやるべきはこれだと考えています。今、SNSも使って広報活動をしているんですが、それは子どもたちに板金の仕事を知ってほしいという想いから始めたんです。板金屋って何の仕事なのかあまり知られていないんですよ。大人が知らないってことは、子どもも当然知らない。なので、お父さんやお母さんはこんな仕事をしているんだって、SNSを通じて子どもたちに板金職人について広められたらと思っています」
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WORK
雪国での豊富な住宅施工実績を生かし、暮らしに根差した必要な屋根工事を提案する
北海道の十勝地方にある河東郡音更町南鈴蘭北の高島板金工業は、金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)工事を中心に雨樋修理、防水工事まで幅広く対応しています。特に住宅の屋根修理に強く、長年培った経験と技術で地域の建物を支えています。屋根材や雨樋の自社加工も行っており、雪の重さに負けない丈夫な役物(※1)を使った屋根修理が可能です。
お客さまとの打ち合わせでは、わかりやすい説明を心がけています。平面図だけではイメージが伝わりにくいため、立体的な図面を手描きで作成し、施工方法をパターンごとに示してお客さまに提案。また、お客さまのライフプランを考慮し、今後の生活にフィットする屋根修理を考えるのも重要な役割です。
「お客さまに不満が残らないよう、工程ごとの詳細な説明は欠かしません。金額に対しても、なぜこれだけかかるかを、きちんと説明しています。屋根の上をどう修理したのか、請求書と一緒に工事後の写真をお渡しすることもありますね。ご高齢の方にはこの家にあと何年住むかをヒアリングして、数百万かけて全体的に直すべきなのか、それとも部分修理の方が良いのか、それらを見据えてどのような工事が必要なのかを考えます」
雨漏り修理では、軒先からの浸水事例が挙がりました。軒先部分の天井が雨水で腐ってボロボロになっている現場で、「全て取り換えたい。1度屋根をめくってどうなってるのか見て欲しい」という依頼でした。
「調査の結果、施工時のテープやコーキングが不十分なのが原因とわかったんです。屋根全体の軒先の全てを1度めくって、納まりや水の回り方を確認し、不足していた資材やコーキングを追加して納め直しました。実は1度折り曲げた鉄板を元に戻して、また折り曲げるのはすごく大変な作業なんです。古い住宅では起こした部分がちぎれる危険もあるため、慎重な判断が必要でした」
また、春が近づき雪解けの際に起きる現象「すが漏り」による雨漏りが多いのも雪国の特徴です。これは屋根の雪解け水で軒先に水たまりができ、凍ったり溶けたりを繰り返すことで起こるトラブルです。水たまりや氷が常に屋根の上にあるため、長い時間をかけて屋根の内側に浸水が起こり、雨漏りを引き起こします。
「古い住宅は室内から熱が上がり、その熱で屋根の雪が解けて氷がどんどん厚くなってしまうんです。断熱性能の低い古い建物で特に発生しやすいですね。屋根に雪がある状態で雨漏りをしたら、ほぼって言っていいくらい、すが漏りです。断熱改修や、場合によっては氷落としなどの応急処置も行っています」
北海道十勝地方の河東郡音更町の金属屋根工事の特性を尋ねました。音更町の地域に限らず、北海道の屋根は積雪への対策が欠かせません。屋根からの落雪で隣近所のカーポートや物置を壊してしまう事態も珍しくなく、屋根の雪が落ちないようにしてほしいという相談が頻繁に寄せられるそうです。直近の事例では、三寸ほどの勾配の古いトタン屋根の雪止め設置工事が挙がりました。経年で屋根の断熱材が痩せていたため、断熱材の入れ替えも提案し、結露に強い屋根に仕上げました。
「古い住宅でまっすぐ下に雪が落ちるつくりの屋根だったんです。現地調査で屋根材の傷みや断熱材の劣化もあり、ヒアリングの上、スノーストッパールーフ(※2)での葺き替え工事を提案させて頂きました。断熱材だけではなくルーフィングも交換したので、結露に強く温かく過ごせる状態になったと思います。スノーストッパールーフは横葺きで施工し、ハゼ(※3)が高くなっている部分に雪が引っかかることで、屋根全体に雪が止まる仕組みです。断熱材を入れた後にルーフィングを張り、最後にスノーストッパールーフを施工して完成させました」
※1 役物・・・屋根の役物は防水、端部の固定、外観の印象付けのため先端部や勾配の頂部にとりつける部品
※2 ストッパールーフ・・・株式会社マキタから販売されている、金属材の屋根に雪止め機能が一体化しているもの。雪下ろしをしなくてもよくなるメリットがある。
※3 ハゼ・・・金属板どうしの端を折り曲げて引っ掛けることにより継ぎ合わせた場合の、折り曲げた部分のこと
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MESSAGE
雨漏り修理は経過観察後まで見る。長期的な信頼関係を大切した、安心のフォロー体制
高島板金工業では、工事完了後のアフターフォローをとても大切にしています。お客さまとの長期的な関係構築に努めており、「何か不具合があれば連絡くださいね」と必ず伝え、迅速な対応体制を整えています。高島板金工業の責任による不具合であれば、もちろん無料で再工事や修理を実施するので安心です。
雨漏り修理は、その後2回の雨天を待ち、水漏れがないかどうかをお客さまに確認をしていただいてから完工としています。「何度か雨の日を過ごしていただき、雨漏りが止まっていれば正式に請求させていただきます」という方針です。また、雪止めの設置も同様で、施工後の状況確認を大切にしています。積雪量はその年により違うため、屋根の形によっては雪止めの数が足りない場合もあるのです。費用は追加になりますが、うまく雪が止められなかった時の増設にも柔軟な対応を心がけています。
最後に「やねいろは」をご覧になっている、雨漏り修理や屋根の劣化でお困りのお客さま、そして屋根リフォームや屋根修理を検討しているお客さまへメッセージです。
「先代の父の時代から住宅工事をたくさん手掛けてきたので経験が多く、実績がある分、臨機応変に動けるのが大きな強みですね。20年、30年、長く勤めている職人がいて、同じ場所から仕事の経過を見続けてきた人がいる、そして彼らの技術を引き継ぐ若い人たちがいる、本当に心強いですね。加工場には女性もいて、屋根材以外のものを数多く作っているのもうちの面白いところです。折り紙で作れるものは大抵鉄板でも作れるんじゃないかな。サンマ焼きの受け皿や公民館の靴棚の靴受け、そういった生活に根付いたものをステンレス加工で作ったこともあります。友達とかに聞くような感覚で、『こういうの作れる?これどうやって直したらいいの?』と聞いてくれたら嬉しいです」
高島さんは「会社を大きくしたい野望はないんです」ときっぱり言う一方で、「住宅に携わるのをやめたくない」とも力強く話していました。高島さんにとって仕事とは、先代から引き継いだ技術を守ってお客さまに喜んでもらうこと、そして共に働くスタッフの生活を守ること、これに尽きるようです。筋の通った誠実さに、きっとそれらの精神を引き継いでくれる次世代の経営者が現れるでしょう。この会社をこの先も応援し続けたい、そんな風に思えた取材でした。
(2025年6月取材)
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取材後記
有限会社高島板金工業
経営者としての強い責任感
代表になったきっかけについて「中継ぎぐらいだと思ってて」と謙遜する高島さんですが、スタッフの生活を守ろうとする責任感は人一倍強いと感じました。「いつもスタッフに伝えているのは『体を大事に』です。ケガなんてさせたらご家族を不安にさせてしまいますからね。ケガをしない、命を守る。仕事をする上で、それが何よりの最優先事項です」という言葉からは、スタッフとその家族への深い愛情が感じられました。
子育て中スタッフに配慮した環境
高島さんのお話で最も印象的だったのは、働くスタッフへの配慮でした。できるだけ「保育園から電話がかかってきたら30分で帰宅させる」「子供が具合が悪い時はすぐに休ませる」という方針で、男女問わず子育て中のスタッフに柔軟に対応しています。「会社全体で子どもを育てる、そんな気持ちで日々向き合っています」。今回の取材で出たどんな話題も、すべてはこの高島さんの信念に繋がっています。こんな会社なら安心して働き続けられると感じました。
女性が活躍できる場を広げたい
そして組合活動に熱心な高島さん。ご自身が組合に参加することで、板金は女性が活躍できる場所なんだと知ってもらいたいと言っていました。「女性が組合活動に参加すると、やはり無駄に目立つんですよ」と笑っていましたが、その立場を女性にとってポジティブに利用する考えがとても素敵でした。「声を掛けられやすい立場」でいることも大切にしていて、それは組合活動だけではなく、現場での職人さんやお客さまへの対応にも役立っているようでした。
子どもたちに広めたい!板金業
「親の仕事を知らない学生がけっこういる」
インターンシップを受け入れた際に高島さんはそう感じたそう。そこでインスタグラムを活用し、板金業がどんな仕事なのかを積極的に発信するようになりました。インスタグラムなら一緒に働くママ世代からその子どもたちへ情報が広がり、自然と親の職業を知る手立てになると考えたのです。「この情報が子どもたちの職業選択の材料になれば良いですね」。母親業と経営を兼任してきた高島さんだからこその想いが、インスタグラムに詰まっています!
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工事店プロフィール(有限会社高島板金工業)
| 一番の強み |
地域に根差した活動を心掛け、幅広い工事に対応。長年培った経験と技術に加え、屋根材や雨樋の自社加工も行い、雪の重さに負けない丈夫な屋根修理の他、寺社屋根工事ができるところ |
| 会社名 |
有限会社高島板金工業 |
| 対応工事 |
|
| 従業員数 |
社員:12名 |
| 建設業許可 |
屋根工事業、板金工事業(北海道知事許可(般-4)第622929号) |
| 保有資格者 |
一級建築板金技能士:3名
二級建築板金技能士:3名
高所作業車運転者:6名
職長安全衛生責任者:5名
石綿取扱作業従事者:5名
足場の組立て等作業主任者:5名
玉掛作業者:6名
職業訓練指導員:4名
登録建築板金基幹技能者:3名
屋根外装調査士:3名
特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者:4名
アーク溶接作業者:5名 |
| 特徴 |
リフォーム業
金属屋根工事業
その他屋根工事業
雨樋工事業
陸屋根工事 |
| 対応エリア |
北海道地方
|
| アフターフォロー体制 |
損保ジャパンの賠償責任保険に加入済です。
何か不具合などございましたら、ご連絡下さい。
すぐに対応させていただきます。 |
| やねいろはケア |
未対応 |
| 代表者 |
高島 望 |
| 代表者経歴 |
有限会社高島板金工業 代表取締役
北海道板金工業組合 所属
1995年3月:音更町立下音更中学校 卒業
1995年4月:帯広大谷高等学校 入学
1998年3月:帯広大谷高等学校 卒業
1998年4月:帯広大谷短期大学 社会福祉科 入学
2000年3月:帯広大谷短期大学 社会福祉科 卒業
2000年4月:帯広大谷短期大学 入職
2001年1月:帯広大谷短期大学 退職
2007年9月:有限会社高島板金工業 入社
2015年9月:有限会社高島板金工業 専務取締役 就任
2021年5月:有限会社高島板金工業 代表取締役 就任 |
| 所在地 |
〒080-0311
北海道河東郡音更町南鈴蘭北3-1-19
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|
| 営業時間 |
毎週月~土曜日 8:00~16:00 |
| 定休日 |
日曜日、祝日、年末年始休業、大型連休(ゴールデンウィーク)、夏季休業(お盆休み) |
外壁工事の依頼も可能です。有限会社高島板金工業の「かべいろは」掲載記事はこちら