長持ちする屋根の秘訣は水はけ。卓越した技術で雨樋や水切りを加工し提供
唐島板金工業所
富山県高岡市福岡町の唐島板金工業所は、金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)や金属系外壁を中心とした建物の外装工事を手掛ける板金工事店です。半世紀にわたりこの地で板金工事に携わり、技能グランプリ優勝等の輝かしい実績と地域に根差した活動を軸に信用を築いてきました。
工事店の想い
PERSON
賞獲得に憧れて必死に技術を磨いた。目標が現実になり、仕事全般に自信が持てるように
唐島板金工業所は富山県高岡市福岡町に拠点を構える板金工事店です。メイン事業は金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)や金属系外壁の工事や雨樋修理で、一般住宅から工場や倉庫等の様々な現場に対応しています。創業は1975年。この地で半世紀の歴史を持つ工事店です。
今回、取材を受けてくださった唐島盛一さん(以下、唐島さん)は小学生の頃から唐島板金工業所の現場へ出入りし、創業者であるお父さんや職人たちの仕事を眺めて育ちました。
「唐島板金工業所は父が創業した工事店です。なので板金業は仕事として認識する前に生活の一部でした。昔は今ほど金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)が一般的ではなかったので、父が働いているイメージは屋根修理よりも外壁にトタンを張っている姿かな。大工さんならわかりやすいんですけどね、板金屋の仕事内容についてはあまり把握できていなかった気がします」
中学生くらいになると屋根の上で釘を打つ手伝いをするようになったため、板金業が住宅工事の仕事なのだと実感したそう。大工であった祖父と板金工の父からの遺伝なのか幼少期からモノを作るのが好きだったとの事で、家業手伝いは決して強いられたわけではなく、中学時代は部活を楽しむ時間もあり、友人とも楽しく過ごしたといいます。
唐島さんは高校の建築科を卒業後、建設業での経験を経てその間に建築士資格を取得。正式に唐島板金工業所へ入社したのは2001年でした。板金の仕事はお父さんから教わりましたが、お父さんは昔ながらの職人であり、仕事は「見て覚えろ」が基本だったそうです。
「父から仕事を教わる他に、大きな現場で会った職人さんからもたくさんのことを教わりました。板金の仕事が面白くなってきたのは、自分が他の人よりもうまくできる技術が見つかった時かな。その頃から、現場を任せてもらう事が増えた事で責任感が芽生え、本腰を入れて「この職で食べていこう」と思うようになりました。」
その後は、全国建築板金競技大会で第1位を獲得するほど熱心に技術研鑽に励みました。唐島さんは図面と技能の両部門で優勝したのですが、この成績は全国の板金工事店でも指で数えるほど。唐島さんが屈指の技術を持っていることが証明されました。競技会出場には練習が不可欠で、仕事を終えてから夜更けまで練習時間に充てていたといいます。そこまで競技会に熱心になった原動力は、賞獲得への憧れでした。
「他の県の職人さんが○○大会で優勝したとか、3位でしたとかいう新聞記事を見たんですよね。恰好良い!僕もこうなりたい!と憧れて、練習に打ち込みました。色んな大会に挑戦して厚生労働大臣賞も取りました。憧れを現実にしたことで板金技術への自信が持てるようになった気がします」
今後の目標はありますか?と尋ねたところ「築いた信用を損なわないよう、誠実にいただいた仕事に向き合っていきたい」と堅実な回答。自分を信頼して頂いた依頼は自らが赴いて施工します。もちろん人手が足りない時は信頼できる仲間に応援も頼む事もありますが、スタッフを増やして会社の規模も大きくして……とかいう大きな野望はありません。少数精悦の自社スタッフだけでこなせる体制を整えていけたら、それが何よりですね」
詳しく見る
閉じる
WORK
現場作業、若手育成の指導、全てが自分の糧に。様々な経験が確実に対応力を高めてくれた
富山県高岡市福岡町の唐島板金工業所は、金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)や雨樋修理等を中心に施工する板金工事店です。板金工事に伴う塗装工事、その他の住宅工事も窓口となって対応しています。
若手育成にも余念がない唐島さん。新人に作業を教える時も訓練校で指導する時も抽象的な言い方はしないそうです。理解が深まるように、「この作業がどうして必要なのか、どう納めたら雨漏りしない丈夫な屋根に仕上げられるか」を理論立てて説明しています。
「とりあえずやってみなさい、という教え方はしていません。作業の必要性や順序をきちんと説明してから作業にあたってもらいます。理屈から外れたら何か不具合が起こるものなので、話をする、聞くはとても大切ですね。できなくて困っている新人は、どこでつまずいているのかを紐解いていくと引っ掛かりがわかり、これが指導者側の面白さだと感じています」
実際の屋根工事の事例では、コロニアル(※1)の劣化によるリフォーム工事が挙がりました。築15年ほどの家で、コロニアルの塗装部分が白く浮いていた状態だったそうです。屋根のリフォームには全葺き替え、塗り替え、カバー工法(※2)の3つの方法があります。唐島さんは屋根の状態を見極めた上でお客さまの要望と合わせて最適なプランを提案します。
「お客さまは全葺き替えをご希望でした。ただ、全葺き替えとなるとコロニアルはアスベストの処理問題や産廃費、近隣の皆さまへの配慮等、お客さまの負担が大きくなるため、最終的にガルバリウム鋼板屋根でのカバー工法で決定しました。アスベストに関する費用問題は、コロニアル屋根のリフォーム工事ではよくある話で、大抵はカバー工法になりますね。この案件で気を付けた作業は、意匠的な構造がたくさんあり凹凸が多かったので、水始末を間違えないように気を張りました」
唐島板金工業所では雨漏り修理の相談も多数寄せられます。屋根と外壁の取り合い(※3)部分の雨漏りは特に多く、その場合は部分修理になるそうです。そして、意外にも根本的な理由として多いのは同業の板金屋による不始末だといいます。
「取り合いが原因の雨漏りは、水切り(※4)を加工して雨水がスムーズに流れるように修理します。どこの組合にも属さず、同業の職人と全く絡まずに仕事をしている職人さんがたまにいて、そういう方が施工した屋根は納め方や板金の加工に疑問があることがあります。板金は職人によって納め方が違う仕事なので、職人は色んな現場で色んな不具合を経験して技術や知識が増えていくものなんですよ。組合に所属して他の板金屋さんと話していると『そんな考え方、そんなやり方があったのか』と感じて技術を勉強できることも多々あるんですが、一匹狼でやっているとその学びが得られないので、結果的に誤ったやり方のまま工事して後々雨漏り修理が必要になることがありますね」
富山県高岡市の金属屋根工事の特性について尋ねました。富山県は積雪が多く、屋根には雪止め金具を設置します。また、雨樋は積雪で影響を受けないように設置位置の高さや強度に工夫が必要です。
「過去にあった相談で、通学路に雪が落ちるのを防ぐために雪止めを設置したいというのがありました。ただ、屋根の形状から本来なら雪止め金具が設置できない部分があり、設置に工夫が必要だったんです。でも唐島板金工業所にはそういったイレギュラーな事態にも対応できる経験と実績があるので、ご安心ください」
※1 コロニアル・・・セメントを固めて塗装した板状の屋根材。化粧スレート
※2 カバー工法・・・金属屋根の重ね張りをする屋根のリフォーム方法
※3 取り合い・・・(屋根と壁など、部位同士の)つなぎ・境目
※4 水切り・・・水が一部分に溜まらないようにするための金属板
詳しく見る
閉じる
MESSAGE
実は漏水トラブルに強い板金屋。屋根の雨漏りは水の流れを読み解決へ繋げる
唐島板金工業所のアフターフォローは臨機応変で、「何かあればすぐに駆け付けます」と頼もしい回答。地域密着店として、緊急の場合の対応が早いのも大きな強みです。
「万が一、施工後にトラブル等がございましたらすぐに連絡をしてくださいね。早急に点検にうかがって、対応策を考えます。定期点検等は特に設けていませんが、気になる事があればいつでも連絡してください」
最後に「やねいろは」をご覧になっている、雨漏りや金属屋根の劣化でお困りのお客さま、そして屋根リフォーム・屋根修理を検討しているお客さまへメッセージです。
「板金屋の強みは、漏水に関する修理のノウハウを持っているので解決のお手伝いができること、そして板金加工のための大きな機械も所持していて、意匠性の高い加工・施工の提案ができることです。僕の仕事に対して色々な評価をいただいていて、このことに誇りを持ち評価に恥じない仕事をしていきたいと考えています。信頼を寄せてくれているお客さまを裏切らない、そんな仕事をしていきたいですね。僕は設計事務所も構えているので、屋根だけではなく家の不具合をトータルで見て提案できます。何でも気軽にご相談ください」
質問に対し、じっくり考えて答えてくださった唐島さん。特に施工事例では、唐島板金工業所の得意分野が読者の皆さんに伝わりやすいように、板金業ならではの技術を解説しながら説明してくれました。「新人育成は、まず理屈を説明して仕事を理解してもらう」と言っていたことにも納得。誰に対しても真摯な対応をしているのが手に取るようにわかった取材でした。
(2023年6月取材)
詳しく見る
閉じる
・当社及び記事作成者は、当サイトに掲載されている記事や情報の内容に関しては十分な注意を払っておりますが、それらについての正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。
・当サイトに記載された情報のご利用については、ユーザー自身の責任において行われるものとし、ユーザーが当サイトから入手した情報に基づいて直接的または間接的に被ったいかなる損害について、当社および記事作成者は一切の責任を負いません。
取材後記
唐島板金工業所
仕事を楽しめば技術は磨かれる
唐島さんは地域のイベントに参加する子どもたちに「ものづくりを好きになってもらいたい」と考えているそうです。それは板金はものづくりの要素が強く、創作を楽しむ人の方が板金を仕事にした時に伸びしろがあると感じたから。現場の仕事だけではなく、数々のコンテストで賞を獲得してきた唐島さんが言うと説得力がありますね。仕事そのものを楽しめる職人がこの地域から生まれるのを心から応援したいと感じました。
揺るぎない安心感!
職人は板金を平面から立体に加工し、水の道筋を作ります。「それこそが板金職人にしかできない技術なんです」と明るく語る唐島さんに大きな頼もしさを感じました。優しくこちらの言うことを何でも聞いてくれる職人さんもとても好ましいですが、唐島さんのように1本筋が通った硬派な職人さんには他に代え難い安心感があります。ぜひお客さまにも、この安心感を体験してほしいとそんなことを思わせてくれた職人さんでした。
・当社及び記事作成者は、当サイトに掲載されている記事や情報の内容に関しては十分な注意を払っておりますが、それらについての正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。
・当サイトに記載された情報のご利用については、ユーザー自身の責任において行われるものとし、ユーザーが当サイトから入手した情報に基づいて直接的または間接的に被ったいかなる損害について、当社および記事作成者は一切の責任を負いません。
工事店プロフィール(唐島板金工業所)
一番の強み |
長年続く地域に根差した板金工事店。技術に自信のある職人が、お客様の家の形状に合った雨樋や水切りをぴったり加工できるところ |
会社名 |
唐島板金工業所 |
対応工事 |
|
従業員数 |
社員:4名 |
保有資格者 |
一級建築板金技能士:1名
二級建築板金技能士:1名
二級建築施工管理技士:1名
建設ジュニアマスター(板金工):1名
高所作業車運転者:1名
職長安全衛生責任者:1名
石綿取扱作業従事者:2名
足場の組立て等作業主任者:1名
玉掛作業者:1名
ものづくりマイスター(建築板金)
職業訓練指導員:1名
二級建築士:1名 |
特徴 |
リフォーム業
金属屋根工事業
その他屋根工事業
雨樋工事業 |
対応エリア |
中部地方
|
アフターフォロー体制 |
何か不具合などございましたら、迅速に対応致します。 |
やねいろはケア |
未対応 |
代表者 |
唐島 盛一 |
代表者経歴 |
唐島板金工業所
1995年3月:福岡町立福岡中学校 卒業
1995年4月:富山県立高岡工芸高等学校 建築科 入学
1998年3月:富山県立高岡工芸高等学校 建築科 卒業
2001年4月:唐島板金工業所 入社 |
所在地 |
〒939-0132
富山県高岡市福岡町大滝1292-1
大きな地図で見る
|
営業時間 |
毎週月~土曜日、祝日 8:00~18:00 |
定休日 |
日曜日、年末年始休業、大型連休(ゴールデンウィーク) |
外壁工事の依頼も可能です。唐島板金工業所の「かべいろは」掲載記事はこちら