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「屋根工事」について

2023.06.16 全瓦連技能グランプリ

日本一の板金職人を決める大会『第45回全国建築板金競技大会』に行ってきました!観戦レポート(後半)

1.日本一の板金職人を決める大会『第45回全国建築板金競技大会』に行ってきました!観戦レポート(後半):2日目 競技開始


朝8時。緊張感が張り詰めた空気の中、技能競技の部(ZIC)、建築技術の部(NYAC)両会場で開始の合図が鳴りました。競技開始です!


競技時間は4時間。銅板加工をする技能競技の部(ZIC)も最初は展開図の作成から始めるため、皆急いで製図用ケント紙に向かい必死に筆を走らせます。この4時間という時間は、課題に対して短いと感じる選手がほとんどです。これまでの練習で時間の厳しさを知っているからこそ、次のステップに早く進めるよう一心不乱に向き合います。それでも、開始直後は手が震えて書けないのだとか。いかに選手がこの大会のためにすべてを懸けて来たのか、その本気度が伺えます。


開始から50分頃。そろそろ銅板を手に取る選手が多くなってきました。あらかじめ長方形の銅板一枚が配られており、選手は作成した展開図を銅板に転写していきます。
1時間経った9時頃になると、曲尺(かねじゃく)を板金に当てるカチャカチャという音や、ハサミで板金を切るバチンといった音が響きわたるようになりました。


一方、建築技術の部(NYAC)では施工図を描くA2の用紙2枚が配られ、選手たちは課題文の隅々を確認しながら筆を走らせていきます。
開始から1時間が経過する頃には、2枚目に取り掛かる選手も見受けられるようになりました。中には立ち上がって自身が書いた施工図を俯瞰で見ながら考え込む選手もいます。

2.日本一の板金職人を決める大会『第45回全国建築板金競技大会』に行ってきました!観戦レポート(後半):今回のポイント(技能競技の部(ZIC))


技能競技の部(ZIC)の課題は銅板で作るティッシュケース。私のような素人にはそもそもどうやって作るのか、選手は何に気を付けているのか全く想像ができなかったので、参観者として応援に来ている板金職人の方にお話を伺いました。

その方がおっしゃるに、今回のポイントは①箱と蓋を組み合わせること、②長辺でねじれが出ること、③パーツを重ねることでズレが出ること、の3点だそうです。それでは順に見ていきましょう。

① 箱と蓋を組み合わせること
課題となったティッシュケースには、ティッシュを入れる箱の部分と、蓋の部分の二つがあります。しかも、蓋は上から被せるのではなく、スライドさせて箱に組み合わせなければなりません。蓋と口の大きさがずれてしまったり、口の部分を丁寧に作っていなければ、そもそもはまらなくなってしまいます。とても手の込んだデザイン性の高い作品が課されているということですね。

② 長辺でねじれが出ること
箱に2箇所ある長辺は、ケースの内側に向かってカーブを描いています。このカーブの加工をしていると、直線であるはずの長辺がねじれてきてしまうのだそうです。これは銅板の特性ともいえるもので、カーブ加工をしながら直線を正確に作るのは至難の業だと教えてもらいました。


③ パーツを重ねることでズレが出ること
先ほど、箱と蓋の二つからできていると言いましたが、実は箱ひとつをとってもそのパーツは細かく分かれており、各パーツを組み合わせて箱の形に仕上げます。さらに、切断部分には内側に曲げる加工がしてあるのですが、この曲げる加工をした上でパーツとパーツを組み合わせていると、重なっているところが膨れていくのだそう。その膨れをいかに抑えられるのか、図面通りに仕上げられるのか、ミリ単位での調整が必要になるそうです。


選手たちはこの日のためにとても長い時間をかけて練習をしてきました。地域によっては、1年を通して勉強会を行うところもあるそうで、春過ぎに展開図、夏頃に板金加工、冬前にに本番を想定した練習、そして大会1か月前に作品を持ち寄った講評会など、都道府県を越えた地域ブロック全体で選手を応援します。また、各ブロックには歴代の優勝選手が在籍していることがあり、講師として自身が身に付けた技術や優勝するためのポイントを次の世代に教えているのだそう。
競技中の様子は個人戦に見えますが、その背景には技術の継承や地域で応援してくれる人たちの期待があり、それが選手を支える大きな力になっているのですね。

3.日本一の板金職人を決める大会『第45回全国建築板金競技大会』に行ってきました!観戦レポート(後半):今回のポイント(建築技術の部(NYAC))


建築技術の部(NYAC)では、新築工事の屋根、外壁、樋(とい)の施工図を作成します。こちらも別の板金職人さんにお話を伺うことができました。
その方がおっしゃるここでのポイントは、①見た目の綺麗さ、②出題者の意図、③加点箇所の提示の3点だそう。こちらも順に見ていきましょう。


① 見た目の綺麗さ
施工図を書くにあたっては、守らなければならない図面の作法と、一方で決まった書き方がない自由に書ける箇所があります。特に屋根の納め方や外壁の納め方については決まりがないため、頭にあるものをいかに伝えられるかが大事になってくるそうです。そのために、「自分はここまで考えた」という細かい書き込みであったり、あるいは鉛筆の太さを変えて分かりやすく、そしてずれがないように書くことで、施工図の綺麗さが大きく変わってきます。


② 出題者の意図
今回の課題では、「工務店さんからの依頼」で施工図面を書くことになっています。依頼主は大きく分けて2種類あり、今回のような業者からの依頼と、一般の人からの依頼に区別されます。業者からの依頼であれば建築に対する知識がある人が見ることを想定して正確さ重視の図面となり、一般の人からの依頼であればなるべく専門的なことを入れずに分かりやすい図面を作る必要があるそうです。


③ 加点箇所の提示
前回から変わった点として、今回は当日に加点箇所の提示がありました。「これを書けば加点される」という情報が選手に公開されましたが、選手によって使い方は様々だそうです。というのも、当日の発表となるため、あらかじめ準備することはできません。臨機応変に対応する選手もいれば、+αの加点部分に手を付けて失敗するよりは練習通りに書いた方がうまく行くという選手もいました。


課題作品を何度も作って練習する技能競技の部(ZIC)に対して、建築技術の部(NYAC)では様々な現場を見ていることが練習になるのだそう。実際の建物を見て、それを施工箇所ごとに図面に起こして書いていくという作業を普段から行っているかが重要になってくるのですね。

4.日本一の板金職人を決める大会『第45回全国建築板金競技大会』に行ってきました!観戦レポート(後半):競技中の様子


開始から2時間半が経過しました。技能競技の部(ZIC)では、パーツごとに切り分けた銅板を折ったり曲げたり、あるいはカーブを付けたりする真剣な眼差しの選手たちの姿が。そして、ある選手が手を挙げたかと思うと、その数分後にはなんと七輪が運ばれてきました。これは「はんだ付け」に使うそうで、最近は電気の機械を用いるのが一般的ですが、この大会では焼いた炭を使って板金と板金を接合します。競技大会では、インパクトドライバー以外の電動工具は使用禁止となっており、七輪からもその徹底ぶりが伺えますね。

建築技術の部(NYAC)でも、長時間にわたる集中力を切らすことなくひたむきに図面に向かって書き込みをしていきます。製図板は使い勝手を考慮して傾斜がついていますが、それでも用紙の上部に定規を当てる際には立ち上がって真上から見下ろす形で慎重に線を入れる選手の様子もありました。一言で「図面を書く」と言っても使う道具は様々で、机の上には大きさや角度の違う複数の定規、コンパス、太さの異なるシャープペンシルなど、正確で詳細な施工図に必要な道具が並べられています。


ここで、残り1時間のアナウンスが。技能競技の部(ZIC)では、段々と一つひとつのパーツが形作られて来て、見ている私もどこに使われるパーツなのか分かるようになってきました。建築技術の部(NYAC)では、書き込みがますます詳細になっていき、線の太さや強弱をつけている選手の図面は「施工図」というより「絵」のようにも見えます。また、このタイミングで一度課題の冊子に立ち返り、自身が書いた図面と照らし合わせながら確認作業を行う選手も見受けられました。いよいよここからラストスパートの追い込み仕上げでしょうか。会場全体の緊張感がますます高まっていきます。


そして、ついに競技終了。
張り詰めた緊張感が一気に解け、会場からは健闘を称える拍手がいっぱいに鳴り響きまし
た。最後の最後まで作品の微調整や銅板の表面を布で拭いて磨きをかける技能競技の部
(ZIC)の選手や、隅々まで目を凝らして書き上げた施工図の確認をする建築技術の部
(NYAC)の選手を見ていると、職人としての「もっと良くしたい」「こだわりたい」と
いう思いがこれでもかというほど伝わってきて、競技終了の瞬間には私も胸がいっぱい
になりました。清々しい表情の選手や、唇を噛んで悔しい様子が伺える選手など、終了の
合図とともに浮かべる表情は様々でしたが、この4時間を戦い抜いたことに変わりはあ
りません。とても熱い戦いを間近で見ることができました。

5.日本一の板金職人を決める大会『第45回全国建築板金競技大会』に行ってきました!観戦レポート(後半):まとめ

1年に一度、全国から板金職人が集まりその技術を競い合う熱き戦い、全国建築板金競技大会。ようやくコロナが落ち着き、2年ぶりに現地で観戦することができました。見れば見るほど、知れば知るほど奥が深い職人の世界。そして、ものづくりに対してあくなき挑戦を続ける選手たちの様子を、ぜひ皆さんも見に来てはいかがでしょうか!
以上、現地から観戦レポートをお届けしました。


引用・参考:
https://www.zenban.jp/wp/wpcontent/uploads/2022/04/d7e36d64a42b24815523332452d23fd1.pdf
第 45回全国建築板金競技大会 実施要綱、事前配布版(2022.4.1)、一般社団法人日本建築板金協会・全日本板金工業組合連合会(検索日:2023/3/7)

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