先代の頃から会社を支えてきた経験豊富な熟練職人が中心の屋根・雨樋修理店
株式会社石川工業所
京都府京都市左京区の株式会社石川工業所は、金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)・金属系外壁の施工をメインに、雨樋修理や雨漏り修理も手掛けています。塗装や防水、瓦屋根工事などは協力業者を交えて施工可能。先代が創業してから60年以上、地域で活躍してきた工事店です。
工事店の想い
PERSON
家業に入る前に外の世界をしっかり見ておきたいと考え、2つの工事店で経験を積んだ
京都府京都市左京区の株式会社石川工業所(以下、石川工業所)は、主に金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)や金属系外壁の施工を行っています。部分的な修理から屋根の全面張り替え、カバー工法まで、幅広い屋根リフォームが可能です。代表取締役の石川道広さん(以下、石川さん)にお話を伺いました。
「父が会社を創業したのが1962年です。私が物心ついた時にはもう、この仕事をする父の後ろ姿を見ていました。小さい頃から周囲の人たちに二代目と言われていたせいもあって、いつかは自分も同じ仕事をするのかなと思っていましたね。中学生くらいになると、加工の簡単な手伝いをしたり現場に行って屋根の上で作業したり、アルバイトみたいな形で手伝っていました。高いところは元々そんなに苦手意識はなかったので、抵抗なくやっていましたよ」
高校卒業後、石川さんは家業を継ぐことを視野に、専門学校の建築デザイン学科へ進みました。並行して職業訓練校にも通いながら、建築板金の基礎を学んだそうです。その後、現場での職人経験を重視する先代の考えもあり、石川さんは実家とは別の工事店に就職しました。
「最初は社寺仏閣の工事や銅板加工に強い会社に勤めていたんですけど、いろんな現場を見るのが大事だと感じたので、もう1つ別のところに行かせてほしいと話して、結果的に専門性が異なる2つの会社で経験を積みました。最初の会社と、より大きな現場を手掛けている会社、それぞれ2年ずつ、合計4年外で勤めてから家業に戻りました。この仕事の大変なところは覚えることがとにかく多いところですね。学生時代は野球やラグビーに打ち込んでいたので体力には自信があったんだけど、勉強はあまり力を入れていなかったので、仕事のために学んでいる時は結構苦労したのを覚えています」
先代が60歳になるタイミングで代替わりすることになった石川工業所ですが、かなり急な話だったため、それまで職人しかしてきていなかった石川さんはかなり面食らったのだとか。お父さんはあまり細かく教えてくれるタイプではなく、質問しても自分で考えてやるように言われたので、見積り作成などお金の計算や事務仕事は特に苦労したと話していました。
「代表になると、職人さんの手配ひとつにしても自分の考えで自由にできるので、そういう楽しさ、やりがいは感じましたね。でも常に工期のプレッシャーもあるし、自分のことだけじゃなくてスタッフのことも考えなきゃいけないし、代表ならではの大変さはひしひしと感じました。どうしても人手不足の現状があるので、今後はより若い世代の職人と縁があればいいなと思っています。あと、今は非住宅の大型物件を中心に扱っているんですけど、これからは一般住宅のお客さまとのお付き合いも増やしていけたらいいですね」
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WORK
一つひとつの屋根に合わせて、雨漏りのリスクを最小限に抑える施工を行う
京都府京都市左京区に拠点を構える石川工業所は、金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)や金属系外壁の施工を中心に、雨樋(あまどい)修理や雨漏り修理も行っている工事店です。金属加工工事にも自社で対応しています。
「築20年弱のカラーベスト屋根のお宅から、最近のこの暑さについてなんとかならないかと相談を受けて、遮熱材を入れて新しい金属屋根をカバー工法(※1)で仕上げる工事をしました。天窓があったので、雨漏りしないように気を付けて施工しましたね。下地の段階から水が入らないように、それからもし中に水が入ってしまってもうまく水が抜けるように。防水テープでも念入りに補強しました。カバーすると屋根に厚みが出て高さが上がるんですけど、天窓より上がってしまうと天窓の上に水がどんどん流れてきてしまうので、屋根面の高さには特に注意しながら進めていきました」
施工中に遮熱材を入れてすぐ、お客さまは「暑さが全然違う」と喜んでいたとのこと。そこは設計事務所の方のご自宅でしたが、その後、設計の仕事で何度かその遮熱材を使っていただく機会があり、石川さんはそれがとても嬉しかったそうです。
石川工業所では雨漏り修理の相談も受け付けています。谷(※2)部分が銅板になっている瓦屋根修理では、その銅の部分が腐食していたために穴が開いているのが雨漏りの原因でした。瓦を一部めくって、谷を同じ銅板で直したそうです。ステンレスの方が長持ちするのではないかと尋ねると、異種の金属が化学反応を起こす可能性を考慮し、リスクを減らすために他の取り合い部分と同じ銅板で修理したと答えてくれました。
「増築部分からの雨漏り修理にも対応したことがあります。学校の校舎の屋根だったんですけど、増築部分の屋根の防水部分とコーキングと鉄筋コンクリートの立ち上がり部分が重なっている場所で、条件がすごく悪かったんです。その継ぎ目部分から漏れている恐れがあったので、大きな水切り(※3)を設置してその部分を覆い包む感じで施工しました」
石川工業所は金属加工も行っており、最近では神社で使う灯篭流しのろうそく受けを作ったのだとか。木下地組み、それをすべて板金で囲って作っていきます。また、ちょうちんの傘も長年注文を受けて作っているそうです。
京都府京都市の屋根工事について尋ねました。京都市の雪の多い地域では、通常よりも雨樋の受け金具の間隔を狭くしたり、取り付け位置を低めにしたり、屋根に雪止めを付けるようお客さまにお勧めするなど、降雪の被害を最小限に抑えられるような対策をしているとのこと。また、近隣が近く現場が狭い場合が多いので、施工前の挨拶回りを欠かさず行ったり、ほこりが散らないように注意するなど配慮していると教えてくれました。
「雨樋は最近だと屋根一体型の特殊なものもあります。周囲に木が多い場所だったりすると、落ち葉が雨樋に詰まって排水が溢れてしまうケースがよくあるんですけど、一体型だと落ち葉が入らないようになっているのでその心配がないんです。ちょっと金額が高いんですが、予算に余裕がある場合には選択肢として提案することもありますよ」
※1 カバー工法・・・金属屋根や外壁の重ね張りをするリフォーム方法
※2 谷・・・屋根面と屋根面の繋ぎ目で雨水が流れる排水機能をもつ部分
※3 水切り・・・水が一部分に溜まらないようにするための金属板
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MESSAGE
若手の職人が安心して技術を身に付けられるよう、働きやすい環境に
「人材育成に関してはあまり難しく考えず、新人さんにはとにかく『一緒に楽しくやろう』という気持ちで接しています。教える側の職人もどうしても言葉がきつくなる時はあるし、教わる側も初めてのことばかりで大変だと思うので、『しんどい時ほど怒ったりせずやっていこう』という話はスタッフによくしています。仕事はもちろんきっちり教えますが、こちらが若い子から学ぶこともあると思うし、一緒に勉強していけたらいいですね」
石川工業所では、仕事の後の食事会や年に1度の社員旅行など、スタッフ同士がコミュニケーションを取る機会を積極的に作っているそうで、和気あいあいとした雰囲気が伝わってきました。資格取得の支援や、仕事に使用する道具の購入なども会社が負担しており、未経験でも安心して一から職人を目指せる環境が整っていると言えそうです。
最後に「やねいろは」をご覧になっている、雨漏りや金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)の劣化でお困りのお客さま、そして屋根リフォーム・屋根修理を検討しているお客さまにメッセージです。
「父の代から地域で長年やってきて、受け継いできた技術や実績には自信があります。お客さまにとって大事な家のことなので、工事前はきっと不安や心配もあると思いますが、うちは不必要な工事は一切しませんので、安心してお任せください。完工後は工事内容に応じて保証書を出していますし、何か心配があればご連絡いただければ様子を見に駆けつけますよ。お気軽にお問合せください。お待ちしています」
60年以上の歴史がある石川工業所ですが、これまで個人のお客さまからの仕事はそれほど多くなかったそう。今後はもっと声を掛けていただく機会を増やしたいと考え、より多くの方に石川工業所を知ってもらうため、今回の取材を受けることにしたと石川さんは話してくれました。堅実な仕事を積み重ねてきた石川工業所なら、多くの個人のお客さまにもご満足いただける仕事をしてくれるだろうと感じました。
(2024年7月取材)
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取材後記
株式会社石川工業所
社員の半分以上がベテラン職人
石川さんは京都の板金組合の支部長を務めていて、より多くの若い世代に板金の事を知ってもらい、おもしろさが伝わればと考えています。現在は、技術検定の採点係として検定員の補助をしたりと、幅広く活動をしています。また、石川工業所に在籍している職人は半分が石川さんよりも職歴の長いベテラン職人とのこと。その技術は折り紙付きです。経験豊富なスタッフばかりで、とても頼もしいですね!
誠意を持って人と向き合う
取材では度々、「僕は話が下手だし、人と話すのも苦手なんです」と言っていた石川さんですが、高校時代はラグビー部のキャプテンを務めていたり、専門学校時代の仲間とは今でも一緒に仕事をする機会があったりと、これまでの人生で周囲の人たちとしっかり関係を築いてきたことがうかがえました。人付き合いが得意ではなくても、一つひとつの関係性に誠意を持って向き合ってきた石川さんの人柄が伝わってきました!
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工事店プロフィール(株式会社石川工業所)
一番の強み |
創業から60年以上続く工事店。経験豊富なスタッフがお客さまの要望と、職人として考えるベストな施工の両立を目指し、日々仕事を行っているところ |
会社名 |
株式会社石川工業所 |
対応工事 |
|
従業員数 |
社員:15名 |
建設業許可 |
屋根工事業、板金工事業(京都府知事許可(般―2)第36251号) |
保有資格者 |
一級建築板金技能士:1名
一級建築施工管理技士:1名
二級建築施工管理技士:1名
高所作業車運転者:6名
職長安全衛生責任者:5名
石綿取扱作業従事者:2名
足場の組立て等作業主任者:2名
玉掛作業者:6名 |
特徴 |
リフォーム業
金属屋根工事業
その他屋根工事業
雨樋工事業 |
対応エリア |
近畿地方
|
アフターフォロー体制 |
あいおいニッセイ同和損保のタフビス建設業総合保険、損害保険ジャパンの事業活動総合保険に加入済です。
何か不具合などございましたら、迅速に対応いたします。 |
やねいろはケア |
未対応 |
代表者 |
石川 道広 |
代表者経歴 |
株式会社石川工業所 代表取締役
京滋元旦会 所属
地球にやさしい施工研究会 所属
1987年3月:京都府立北稜高等学校 入学
1990年3月:京都府立北稜高等学校 卒業
1990年4月:京都化学技術専門学校 入学
1991年4月:京都府板金高等職業訓練校 入学
1993年3月:京都化学技術専門学校 卒業
京都府板金高等職業訓練校 卒業
1993年4月:田茂井板金店 入社
1995年3月:田茂井板金店 退社
1995年4月:有限会社足立板金工事 入社
1997年3月:有限会社足立板金工事 退社
1997年4月:石川工業所 入社
2004年12月:有限会社石川工業所 設立 代表取締役 就任
2006年12月:株式会社石川工業所へ組織変更 |
所在地 |
〒606-0046
京都府京都市左京区上高野諸木町2
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|
営業時間 |
毎週月~土曜日 8:00~17:00 |
定休日 |
日曜日、祝日、年末年始休業、大型連休(ゴールデンウィーク)、夏季休業(お盆休み) |
外壁工事の依頼も可能です。株式会社石川工業所の「かべいろは」掲載記事はこちら