役物づくりで決まる板金職人の腕。排水能力を高めるための屋根・雨樋修理を
株式会社藤原板金工業
山梨県北杜市須玉町の株式会社藤原板金工業は、金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)や金属系外壁、雨樋の工事を中心に手掛ける板金工事店です。その他スレート屋根にも対応可能。勉強熱心で腕の良い職人たちが、お客さまの意図をくみ、ご要望に添った屋根工事を提案します。
工事店の想い
PERSON
決して単調にならない毎日の現場仕事。この面白さを若い人に伝え、職人を育てたい
株式会社藤原板金工業(以下、藤原板金工業)は山梨県北杜市須玉町に拠点を構える板金工事店です。主な事業は金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)や金属系外壁、雨樋の工事、その他スレート屋根工事もご要望により対応しています。
お話しいただいた代表取締役の藤原誠さん(以下、藤原さん)は、創業者であるお父さんと共に藤原板金工業を切り盛りしています。近年は山梨県板金組合青年部に所属し、組合主催のイベントにも積極的に参加。地域活動で「板金」の普及を目指す心意気のある職人です。
藤原板金工業は藤原さんのお父さんが1987年に創業した工事店です。藤原さんが子どもの頃からお父さんは板金職人でしたが、家業がどのような仕事をしているのかを認識したのは中学生の時だったといいます。
「子どもの頃は、父が屋根に上って仕事をしているのがどういうことかあまりピンときていなかったと思います。父は朝早くに家を出て、帰ったら夕飯と風呂を済ませて寝るという生活で。休みに遊びに連れて行ってもらったりしたけどずっと仕事をしている人でしたね。自営業は波のある仕事で大変なので、継いでほしいと言われたことはありません。特に母からは『やらないでくれ』とはっきり言われていたくらいです」
今では先代であるお父さんと共に板金職人として働いている藤原さんですが、家業継承については何も強いられていなかったといいます。東京の大学へ進学し、卒業後は地元へ戻って就職をしました。
「大学時代はバイクに夢中で、バイクのイベントに参加して楽しみました。ただ、3回生の時に足のケガをして半年間くらい歩けなかったんです。東京で就職活動が思うようにできなくて実家に戻り、考えた末に卒業後はバイクショップに就職しました。バイク屋のお客さんって高校生と大人がメインなんですが、大人になってからもバイクを愛好している人ってすごく個性的で、接客にはコツが必要でした。人の気持ちを理解して寄り添う、正解はないんですが色々なパターンの対応策を勤め人時代に編み出せた気がします」
会社員として2年ほど勤務し、結婚を機にお父さんに誘われて家業へ入りました。しかしそれまで力仕事の経験が少なかったため、最初は自分のパワー不足を痛感したそう。毎日のように筋肉痛を味わい、お父さんがやってきた仕事の大変さを思い知ったといいます。
「木造の建物の板金工事は手作業がメインです。握力がかなり必要で手でつかむ動作がすごく大切なんですよ。握力をつけるためにお風呂の中でグッパグッパしたりしてトレーニングしました。父は見て覚えろという感じだったけど、わりと親切に仕事を教えてくれた方じゃないかな。いまだに父は越えられないしなかなか自信が持てない部分もありますが、現場では『自分がいちばんうまい職人だ』と前向きに思い込むことで自分を鼓舞(こぶ)して仕事をしているんです」
今後は、職人を育て自分と共に現場で活躍してくれる人を増やしていきたいと考えています。板金の仕事は現場によって納めが違い、扱う材料で作業の工夫も必要です。板金工事とひとことに言っても、決して単調作業にならないのがこの仕事の面白さではないかと藤原さんは語ります。
「これからは若い人を育てていくことを考えています。最近は業界全体が人手不足なので、私の周りの職人さんたちも優しくて指導が丁寧な人が多いんです。指導の時に心掛けているのは、まずは意見を聞いて否定をしないということかな。意見を受け止め、話し合いのすえにお互いが納得した上で仕事ができる環境になるよう心掛けています」
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WORK
お客さまとコミュニケーションを取り、大事なことは繰り返し説明を
山梨県北杜市須玉町の藤原板金工業は、金属屋根(ガルバリウム鋼屋根)や金属系外壁を中心に施工する板金工事店です。カバー工法(※1)や雨漏り修理等、屋根リフォームに欠かせない役物の高い加工技術を持っています。
藤原さんがお客さまと接する上で気を付けているのは、施工に関する説明を怠らないこと。お話が好きなお客さまとは打ち合わせ時に雑談が盛り上がりますが、そのような時こそ大切な事柄を伝え忘れないように心掛けています。
「話に花が咲くとお客さまは大事な説明を聞き逃してしまいがちです。なので大事な作業は繰り返し説明するようにしています。屋根にどんな作業をしているのかを理解してもらうために、写真を使うのも効果的ですね。例えば雨樋(あまどい)なら設置して終わりではなく、『この大きさの雨樋はこれだけの水量を流せる』という数字が載っている資料を見てもらい、納得していただけるよう努めています」
実際の金属屋根工事の事例では、築30年ほどの緩勾配(かんこうばい)のアスファルトシングル(※2)屋根のカバー工法が挙がりました。勾配の緩い屋根は落ち葉がたまりやすく、屋根材の劣化に著しい影響を与えます。
「そのアスファルトシングル屋根の表面がとても滑りにくいものだったんです。滑りにくい上に緩勾配だったので余計に枯れ葉が積もりやすい状態でね。留まった枯れ葉が腐葉土になり、それが屋根材を腐らせていて雨漏りしていました。お客さまから低予算で雨漏りの修理をしたいとご相談されていたので、カバー工法を提案し全てを覆う工事を行いました。木下地をしてからゴムアスルーフィング(※3)を張り、緩勾配に適した屋根材でカバーして完成です。あと、屋根裏の湿気や熱気を排出するために、屋根の棟部に設ける換気棟の設置数もよく考えないといけません。霧が発生しやすい地域だと換気棟が多いのが災いして、屋根の中に霧が入り込んでしまいますから」
また、雨樋は積雪のある地域とそうではない地域では設置位置が異なります。雨樋の大きさによって排水量が違うため、屋根の大きさに合った雨樋サイズがあることを特に丁寧に説明をしているそうです。
「雨樋は屋根から垂直に落ちてきた雨水を受け止めるためのものです。でも、ゲリラ豪雨のように短時間にすごい量の雨だと雨樋の外にあふれてしまいます。それを何とかしてほしいというご要望もあるんですが、ゲリラ豪雨の雨量に対応できる設置方法をとると、今度は積雪時に雨樋に雪が残る状態になってそれもまた問題でね。こういった施主さんの希望と、板金屋の考えをすり合わせるのが大変です。雨樋修理や設置の際は、流したい方に水が流れるように水平器を使って勾配を計算します。軒先が動かしにくいとなかなか職人の思う方に水が流れなくて苦戦することもありますね」
山梨県北杜市周辺の屋根工事内容の特性は、軒天や破風板に板金を張り付けてほしいとの依頼があること。それは、森のキツツキによる穴あけから住宅を守るためだそう。
「この辺りは森の中の別荘地が多くて、キツツキが軒天や破風板に穴をあけるんですよ。穴を放置するとそこからハクビシン等の獣が入り込んでしまうので、リフォームの際は穴開けを防ぐために軒天や破風板の部分に板金設置をよく頼まれますね。方法はご予算に応じてサイズの合った加工品のご用意もできますし、切った板金を張るだけの工事も可能です」
※1 カバー工法・・・カバー工法
※2 アスファルトシングル・・・グラスファイバーという素材が使われた、アスファルトでコーティングされた屋根材
※3 ゴムアスルーフィング・・・正式名称は改質アスファルトルーフィング。屋根材の下に敷く防水シートで、アスファルトにゴムなどを混ぜて耐久性を高めた合成繊維不織布を使用。
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MESSAGE
得意は長尺板金の扱いと役物づくり。既製品に頼らない施工ですっきり美しい外観へ
藤原板金工業では完工時に使用材料に関する資料を渡し、施工日時や使用材料の記録としています。その他、万が一不具合が発生した場合は、迅速にアフターフォローとして点検を行い対応策を講じているとのことです。
「屋根はお客さまが自分で点検できない場所です。屋根工事後に雨漏りなんかが起こったら大変ですから、何かおかしいと思うことがあればすぐに連絡をしてください」
最後に「やねいろは」をご覧になっている、金属屋根の劣化でお困りのお客さま、そして屋根リフォームや屋根修理を検討しているお客さまへメッセージです。
「藤原板金工業は小回りがきく体制なので、時間をかけてじっくり対応できます。得意な工事は長尺板金を扱った工事で、横葺き・長尺の破風巻き等はジョイントが少ないすっきりした美しい外観にできるので、リフォームの際はその点もご相談ください。材料は原寸をとって家に合ったサイズで加工します。既製品にはない最適なサイズで工事ができる、それが藤原板金工業の大きな強みですね。加工の機械が揃っていて全てが自社加工、コストが抑えられるのもお客さまにとっては利点だと思います」
住宅工事の中でも、板金は職人によって納め方が違いこだわりが出てくる工事です。美しさだけ、丈夫さだけに注力しては、ちぐはぐな住宅になってしまいますが、藤原さんの仕事のモットーは「綺麗と安心の両立」。この職人さんになら大事な住宅を預けられると強く思った取材でした。
(2023年10月取材)
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取材後記
株式会社藤原板金工業
板金屋根の普及に注力したい
藤原さんは「小学校で子どもたちにも板金を知ってもらう機会がもてたら」と言います。山梨県板金組合の地域活動にも熱心で、板金という仕事がどういうものかを普及していきたいと前向きに取り組んでいる様子にとても好感を持ちました。確かに、わたしたち素人には「板金で住宅工事」と聞いてもピンときませんね。改めて家の外観を見てみると、あれもこれも板金?!と板金の技術がたくさん使われていることに気が付きました。
いつも謙虚さを忘れず、現場に臨む
「現場では、自分がいちばん上手な職人だと思い込むんです」と藤原さん。多くの実績を持ち地域での信用も得ているのに、自分の技術はまだまだだとこぼし、現場での心構えはそんな弱気な自分を鼓舞するためのものだといいます。でも工事例や新製品を積極的に試していくという話を聞く限り、技術に自信がないなんて様子は見えませんでした。腕の良い職人ほど、まわりに対して謙虚だなと感じた取材でした。
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工事店プロフィール(株式会社藤原板金工業)
一番の強み |
勉強熱心で腕の良い職人たちが、お客さまの意図をくみ、ご要望に添った屋根工事を提案・施工をおこなっているところ |
会社名 |
株式会社藤原板金工業 |
対応工事 |
|
従業員数 |
社員:5名 |
保有資格者 |
一級建築板金技能士:1名
二級建築板金技能士:1名 |
特徴 |
リフォーム業
金属屋根工事業
その他屋根工事業
雨樋工事業 |
対応エリア |
中部地方
|
アフターフォロー体制 |
何か不具合などございましたら、迅速に対応いたします。 |
やねいろはケア |
未対応 |
代表者 |
藤原 誠 |
代表者経歴 |
株式会社藤原板金工業 代表取締役
2002年4月:帝京第三高等学校 入学
2005年3月:帝京第三高等学校 卒業
2005年4月:帝京大学経済学部 入学
2009年3月:帝京大学経済学部 卒業
2009年4月:株式会社2りんかんイエローハット 入社
2011年8月:株式会社2りんかんイエローハット 退社
2011年9月:藤原板金工業 入社
2024年4月:株式会社藤原板金工業 設立 代表取締役 就任
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所在地 |
〒407-0321
山梨県北杜市須玉町上津金422
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営業時間 |
毎週月~土曜日、祝日 8:00~17:00 |
定休日 |
日曜日、年末年始休業、大型連休(ゴールデンウィーク)、夏季休業(お盆休み) |
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