リピーターの多さに日々感謝。屋根を科学し、高品質の屋根工事と雨樋修理を
有限会社山三瓦工業
三重県四日市市山之一色町の有限会社山三瓦工業は、瓦屋根や金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)の工事、雨樋修理を中心に行う工事店です。創業は江戸時代。歴史の深さ、そして技術の高さに定評があり、リピートによる依頼や紹介による工事相談が数多く寄せられている会社です。
工事店の想い
PERSON
伝統と技術、そして実績を活かし、お客さまの人生設計に寄り添った提案をしていきたい
有限会社山三瓦工業(以下、山三瓦工業)は三重県四日市市山之一色町に拠点を構える江戸時代創業の屋根工事店です。代表取締役の服部竜大さん(以下、服部さん)は、この会社の八代目経営者、そして瓦の製造から施工まで一貫して携わってきた豊富な経験を持つ職人でもあります。そんな服部さんに、これまでの歩みや仕事への想いについてお話を伺いました。
服部さんは四日市育ちで生粋の地元人。小学生の頃は、竹やぶや田んぼに囲まれた環境で育ち、竹を使った水鉄砲やプラモデルなど「ものづくり」に熱中する生活だったそう。毎日暗くなるまで外で遊ぶ一方で、小学生の頃から家業の瓦工事の手伝いもしていたといいます。
「瓦をまとめた12キロの束を運ぶんですよ。小学生には重労働ですごく嫌だったんですが、当時は子どもが家の手伝いをするのが当たり前でしたから。中学生になると、夏休みは朝から晩まで、壁上げといってバケツに壁土(葺き土)を入れて機械で屋根に揚げる手伝いをしました」
山三瓦工業は、「創立年がはっきりわからない」ほど歴史が深い工事店です。天保時代から続く工事店で、服部さんのそばには生まれた頃から瓦がありました。しかし意外にも、家業継承について強制されたことはなかったといいます。
「高校や大学への進学、そして就職の時にも親は好きにしろという感じでした。でも小学生の頃から手伝ってきたので、継いでほしいんだろうというのは痛いほどわかっていました。田舎だからどこへ行っても『跡取り息子』として扱われてきましたしね」
ものづくりが好きで大学は工学部で機械工学科を専攻し、卒業後は機械系の会社に就職しました。偶然にも入社した会社は「瓦を作る機械」を製造する会社で、入社後には家業とも繋がりのある会社だとわかり、これも何かの縁と、その会社では3年半勤めたそうです。
退職を考え始めたのは、今後の子育てを考え始めた時でした。勤めていた会社は国内外の出張が多く、家族で過ごす時間の確保が難しくなってきていました。子どもが生まれたばかりの服部さん夫妻にとって、それは大きな課題でした。
「当時は出張が多くて、とにかく妻と赤ん坊を置いて家を空けてばかりでした。子どもが1歳くらいの頃かな、社宅に入るか入らないかという話になった時に、妻から『このタイミングで家に帰ったら』と提案されたんです。25歳の時でした。それで決心がついて家に戻り、現在に至るというわけです」
山三瓦工業は、平成の中頃まで製造と施工を並行して行っていました。服部さんが家業に戻った時も製造は続いており、幸運にも瓦の製造技術と施工技術を並行して学ぶことができたそうです。製造はおじいさんから、施工はお父さんから教わり、また現場での実践的・応用的技術は、出入りの職人さんから習う機会が多かったといいます。
「基本的に昔の職人は無口でしたね。中にはよう喋る人がいてその人から細かい指示が飛んできて。でも見て覚えろな雰囲気の中、その人だけが言葉にして教えてくれて。口うるさい人でしたが有難かったですね」
そんな修業時代を経て服部さんの中に芽生えたポリシーは「一つ屋根の下の幸せを守る」。今後の方針も、全てはそれが軸になるといいます。お客さまにとって一番良い提案をすること、それが山三瓦工業の使命であり仕事だと、そう語っていました。
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WORK
お客さまのライフプランを重視。瓦・板金と選択肢を用意し、最適な施工へサポートを
三重県四日市市山之一色町の山三瓦工業は、瓦屋根や金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)の工事をメインに施工する屋根工事店です。瓦の他、軽量の石付き板金(※1)の施工の実績も高く、屋根の状態に合わせた屋根材を選定します。
服部さんがお客さまとの打ち合わせで最も重視しているのは、住む人のライフプランに合わせた提案をすること。見積もりは基本的に3パターンで提案しますが、それも人生設計を見据えたゆえの方法です。
「例えば築45年の和風住宅、60歳前後のお客さまに屋根リフォームを相談された場合。5年先に建て替える計画、もしくは10年くらいもてばいい、まだあと30年は住む、色々なパターンがありますね。10年住むくらいであれば補強程度の工事ですし、30年となると全体の葺き替えが必要です。微妙なのがあと20年という場合。手入れなしの築45年の屋根は、地震や台風で必ず被害を受けるでしょうから、どこまで被害を軽減させるかがポイントです。瓦屋根のガイドライン工法に則って施工すれば、震度7くらいまでは耐えられると実証されているので、そう説明します。建物自体はまた別の話で、そちらも同時にメンテナンスした方が良いでしょうね」
最近手がけた築25年のカラーベスト(※2)住宅は、今まで1度も塗装メンテナンスをしていない屋根でした。塗装面が剥がれ、カラーベスト自体も傷んでいたため、再塗装が困難な状態だったそうです。
「塗装屋さんから塗装不可の診断を受けたという相談だったんです。そんな時に提案できるのはカバー工法、カラーベストの上から金属屋根(ガルバリウム鋼板(※3)屋根)をかぶせる方法です。この方法なら30年保証があるので、塗装を2回やるよりも後々の心配がありませんから」
瓦屋根工事で多いのは棟(※4)のみの葺き替えです。棟部からの雨漏りは診断が難しく見落とされがちです。当社では棟部の葺き替えで、耐震性を向上させることも視野に入れています。他の業者が何回直しても雨漏りが止まらない、という場合は根本的な原因を把握していない場合がほとんどです。「台風時のみ雨漏りがある」という場合は、原因は瓦屋根ではなく、サッシや外壁の不具合であることが多いそうです。
「雨漏りには必ず理由があるので、僕は原因がわからないうちは処置をしません。築40年ほどの家の雨漏り修理に伺いヒアリングしたところ、『台風や大雨で、東風、南風の時だけ雨漏りをする。北風だと漏らない』とのことだったんです。それを聞いて調査したらやはり外壁が原因だったことがありました。雨漏り修理に限らず、屋根工事は『水を止める』ではなく『水を流す』という考え方です。天から降ってきた雨をいかに工夫をして大地へ導くか、それを考えるのが僕たちの仕事なんです」
そして、山三瓦工業が得意としているのが軽量の石付き板金です。石そのものの色が表面の色になるため、色の劣化がなく錆に強い屋根材で、また、板金屋根では室内に響く雨音が大きくなりがちですが、石付板金では石が音を吸収する効果もあります。
「石付き板金は様々なメリットがありますが、大きなメリットは軽いことと屋根と下地の間に空気層ができることですね。縦葺きとは違い、屋根材を重ね合わせるため、断熱効果、通気性がある程度保てます。先日も築30年ほどのスレート屋根のお客さまから相談を受けて、石付き板金に葺き替えた場合のメリットとデメリットを説明したところ、塗装をやめて石付き板金で決めてくださいました。また、古い粘土瓦から石付き板金に葺き替えた場合は屋根の重量が10分の1程度になることもあり、通気性など日本瓦の良い部分は維持しつつ、建物への重量負担を大幅に軽減させることができ、耐震性を重視されるお客様からの依頼が多くあります」
三重県四日市市の屋根工事の特性を尋ねました。三重県は縦に長く、北部と南部では気候が大きく異なります。そして四日市のある三重県北部は雪が50センチ積もることもある「日本の気象を全部集めたようなところ」だと服部さんはいいます。
「この辺りは気候的には何でもありで、住宅工事は寒さと暑さ全てに対応しなければいけません。土地の気候を把握し、風土に合った施工ができるのでそれがうちの強みでもありますね」
※1 石付き板金・・・ガルバリウム鋼板屋根のひとつ。表面の着色が塗装ではなく石の粉を吹きつけているのが特徴
※2 カラーベスト・・・セメントを固めて塗装した板状の屋根材。化粧スレート
※3 ガルバリウム鋼板・・・現在板金材料の主流となっているアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板であり、鉄板よりもさびなどに強い
※4 棟・・・屋根が交差して山型になったその部分。または、屋根の頂上にある水平な部位
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MESSAGE
お客さまが今後も幸せに暮らせるよう、屋根だけではなく、総合的に住まいを診断する
山三瓦工業では、瓦屋根工事の保証として全瓦連が行っている瑕疵保証制度を利用しています。また、石付板金の場合は、材料保証30年と美観保証10年をセットで用意しているとのことです。そして山三瓦工業の大きな特徴は、お客さまからの紹介による仕事が多いこと。服部さんのもとには「あの人に聞いたんだけど教えてもらって電話させてもらってます」という問い合わせが頻繁に寄せられているそうです。
「保証は工事の内容に合わせて用意しています。あと、点検というほどではありませんが、工事後にお客さまの家の近くを通りかかった際には必ず様子を見るようにしています。大工さんや電気屋さんの紹介もできるので、住まいの相談窓口としてお役に立てればと思います。お客さまからお客さまのご紹介も多くてありがたいです。一度関わったお客さまの住まいには長く関わっていけたらいいですね」
最後に「やねいろは」をご覧になっている、雨漏りや屋根の劣化でお困りのお客さま、そして屋根リフォームや屋根修理を検討しているお客さまへメッセージです。
「ひとつ屋根の下の幸せを守る、これがうちのポリシーです。住宅工事はお客さまがその家で幸せに暮らすためにやるものなので、プロとしての意見を織り交ぜて、お客さまのご要望に沿えるよう努めます。また、ドローンやサーモグラフィーを使い、屋根の状態を見ながら分かりやすい説明になるようにしています。ご納得した上で施工を考えてくださいね。あと、四日市市では屋根葺き替えに補助金が出るケースがあるんです(2025年7月現在)。申請についてもご相談ください。お問い合わせお待ちしております」
三重は袖瓦、北陸なら金沢の黒瓦。服部さんは各地域の瓦の文化を大切にしてほしいと語っていました。一方で便利な石付き板金屋根の活用にも積極的です。瓦の地域文化を大切にしながら、現代の技術も取り入れる姿勢。これぞ地域に根差した職人だと、そう感じた取材でした。
(2025年7月取材)
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取材後記
有限会社山三瓦工業
屋根の軽量化に石付き板金
山三瓦工業は瓦から始まった歴史ある工事店ですが、20年以上前、日本で軽量の石付き板金が普及し始めた時にいち早く施工を導入した革新的な面も持っています。そのため瓦屋根工事店でありながらも驚くほど板金屋根工事の実績が豊富で、メリットデメリットを熟知していることにも驚きました。そして、住宅工事は屋根のみにあらずと、住宅全体を総合的に見る技量、そして必要な工事店に繋ぐ裁量も持っているのです!地域に1件、絶対にあってほしい工事店だと感じました。
屋根を科学するだけでなく人生相談も
最後に服部さんは「屋根工事相談って、半分は人生相談だよ」と言っていました。年老いた親が住む実家の管理、築年数の古い家の購入などなど、人生を左右する家のアレコレを屋根工事に付随して受けているそう。屋根は家族の生活を守る大切な部分だからこそ、そこに関わる服部さんも自然と人生に寄り添う存在になるのでしょう。服部さんへの取材を通じて、「山三瓦工業はお客さまからの紹介仕事が多い」というその理由が、すごくよくわかりました。
屋根修理・屋根リフォーム事例(有限会社山三瓦工業)1件

屋根工事(取替)
H.S様 (三重県四日市市)
更新日 2021.06.03
before
after
- 建物種別
- 一戸建て
- 価格
- 175〜200万円
- 施工期間
- 10〜15日
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工事店プロフィール(有限会社山三瓦工業)
一番の強み |
170年以上の伝統と技術、そして実績と今の時流を掛け合わせ、お客さまの人生設計に寄り添った提案をしていくところ |
会社名 |
有限会社山三瓦工業 |
対応工事 |
|
従業員数 |
社員:2名 |
建設業許可 |
屋根工事業(三重県知事許可(般―27)第10270号) |
保有資格者 |
一級かわらぶき技能士:1名
二級建築施工管理技士:1名
瓦屋根診断技士:1名
瓦屋根工事技士:1名
巻上げ機運転者:1名
丸のこ等取扱従事者:1名
研削砥石の取替え等の業務に係る特別教育:1名
職長安全衛生責任者:1名
石綿取扱作業従事者:1名
足場の組立て等作業主任者:1名
玉掛作業者:1名
ものづくりマイスター(かわらぶき):1名
ガス溶接技能講習:1名
アーク溶接作業者:1名
フォークリフト運転業務従事者:1名
小型車両系建設機械:1名
古民家鑑定士:1名
ヘリテージマネージャー((地域歴史文化遺産保全活用推進員)):1名
一般建築物石綿含有建材調査者:1名
石綿作業主任者:1名
住宅外皮マイスター:1名
空き家課題トータルコンサルタント:1名
サスティナブルなまちづくりプランナー:1名 |
特徴 |
リフォーム業
瓦屋根工事業
金属屋根工事業
その他屋根工事業
雨樋工事業
太陽光工事業 |
対応エリア |
中部地方
近畿地方
|
アフターフォロー体制 |
損害保険ジャパン株式会社の第三者賠償責任保険と、一般社団法人全日本瓦工事業連盟(団体保険)の瑕疵保証責任保険 に加入済です。工事内容を勘案して保証書を発行します。
ご連絡をいただければすぐにお伺いいたします。
|
やねいろはケア |
未対応 |
代表者 |
服部 竜大 |
代表者経歴 |
有限会社山三瓦工業 代表取締役
一般社団法人全日本瓦工事業連盟 所属
一般社団法人全国古民家再生協会 所属
1987年3月:四日市市立大池中学校 卒業
1987年4月:三重県立四日市南高等学校 入学
1990年3月:三重県立四日市南高等学校 卒業
1990年4月:金沢工業大学 入学
1994年3月:金沢工業大学 卒業
1994年4月:高浜工業株式会社 入社
1997年8月:高浜工業株式会社 退社
1997年9月:有限会社山三瓦工業 入社
2016年5月:有限会社山三瓦工業 代表取締役 就任 |
所在地 |
〒512-0906
三重県四日市市山之一色町233-1
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|
営業時間 |
毎週月~土曜日 8:00~18:00 |
定休日 |
日曜日、祝日、年末年始休業、大型連休(ゴールデンウィーク)、夏季休業(お盆休み) |