雨漏り修理と瓦屋根一筋の老舗。屋根への深い造詣が優良な工事に繋がる
古屋瓦店
山梨県甲州市塩山下塩後の古屋瓦店は、瓦屋根の新築工事・リフォーム・雨漏り修理含む修理全般を専門に行う屋根工事店。創業70年を迎える現在も、瓦屋根ひとすじ。瓦屋根職人で結成した「瓦技術研究会」を主宰し、伝統技術の継承と瓦葺き技術の情報交換に余念がない会社です。
工事店の想い
PERSON
瓦葺き職人は体が資本で健康第一。屋根仕事を長く続けるためにも体と心を一定に保つ
古屋瓦店は山梨県甲州市塩山下塩後(えんざんしもしおご)に拠点を構える、瓦ひとすじ70年の瓦屋根工事店。この地域に「瓦屋」がない時代に、いちはやく開業した先駆者で、現在は数ある瓦屋根工事店を先導する立場にもあります。
古屋瓦店の創業は1950年(昭和25年)。戦後間もない時代に、現代表の古屋賢一さん(以下、古屋さん)の祖父が先見の明でこの地に瓦屋を開業しました。70年もの間じっくり瓦に向き合う、この老舗の看板を背負う古屋さんに、ご自身の幼少期と古屋瓦店の歴史について伺いました。
「私の祖父、元は大工だったんです。昔はここらに大工はしこたまいたようですね。でも、瓦葺き職人は皆無で、家の新築や瓦屋根の修理が必要になると、職人を遠方から呼んでいたようです。そこに鼻を利かせたのが私の祖父で、塩山下塩後にはこれから瓦葺き職人が必要だと言って大工から転身したと聞いています」
創業の頃は、競争相手がいなかったので当然引く手あまた。祖父の元には毎日のように仕事が舞い込み、寝る間も惜しんで仕事をしていたそうです。
「私の父は、学校へ行くより働けと言われて、けっこう厳しい子ども時代を過ごしたようです。今では考えられないけど、『この平瓦(ひらがわら)(※1)を葺いておけ、夕方迎えに来るから』と現場に放り込まれるのもしょっちゅうで、父も疑問に思わず働いたらしいです。昔は現場もアットホームで、私も保育園の頃から出入りしていました。親方の糸巻きブン投げて怒られたなあ。小学校4年生くらいから地下足袋をはいて屋根に上ってました。まだ42歳だけど、小学生の頃のキャリアを入れたら30年越えですね」と、古屋さんは笑います。
しかし、だからと言って瓦葺き職人として家業を継ぐと決めていたわけではなく、高校生の頃にはダンプの運転手になる気でいたそうです。
「小さい頃から、親父が現場から帰ってきた時の荷物運びを手伝っていました。家に作業用の車がたくさんあって、嬉々として会社の敷地内でフォークリフトを操作していました。『働く車』ってやつが好きで、大型のトラックを運転したいなあと漠然と考えていたんですよ。でも、なんだかんだと現場や会社に出入りしていたから、高校卒業する頃に、親父から『お前、卒業したら社員な』と言われて入社しました。反発? なかったですね。屋根の上で働くのは好きでしたから」
しかし、入社して11ヶ月後に父が急逝。当時、古屋さんは弱冠19歳でした。半分引退していた年老いた祖父や母と共に会社を切り盛りし、ここまで古屋瓦店を守ってきました。
「瓦葺きの技術はそれなりに身に付いていたので困らなかったんですが、慌てたのは書類関係です。今なら15分で終わるものを当時は2時間かけたりしてね。ただ、入社したその月から『社会人なんだからこれくらいできないと』と言われて見積書や請求書について教えてもらっていたので、何とか処理してました。父は40代だったので早すぎる死だと思うけど、私に早めに仕事も引き継いでいたし、運命だったのかなあ……」
今後の展望について尋ねると、古屋さんは「健康第一。体も心も大事にしないとね」と切り出しました。
「少し前に腰を悪くして、これまで体を酷使してきたんだなと感じました。私は馬鹿力なので、仲間が両手で持つものを、若い頃からずっと片手で持ち上げてた。そうなると、加齢で筋力が落ちてきた時に危ないことになるんですよね。自営ですからできるだけ長く仕事がしたいし、瓦屋として瓦屋根を守っていきたいです。瓦屋根工事店の生き残りのためにはどうしたらいいか? 今、仲間内で仕組みを構築している真っ最中なんです。山梨瓦技術研究会で想いを同じくする仲間と組んで、地元の瓦屋根事業を盛り立てていこうと奮闘しています。我々には若い世代を育てる使命もあるし、体を壊して寝込むわけにいかない。休みはきちんと取るようにしています。私が親方と敬っている職人さんがいるんですけど、その人から教わった貴重な技術も、私で途絶えさせるわけにいかない。瓦ってね、上でただ並べてるだけではないんです。職人の繊細な加工が雨漏りを防ぐ効果を生み出します。技術を引き継いでいくためにも健康に留意して仕事に取り組まないといけませんね」
※1 平瓦…反りのついた板状の瓦。
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WORK
時には瓦屋根のデザイン性にも言及。瓦を知り尽くした職人だからこそできる施工がしたい
古屋瓦店は、瓦ひとすじ70年の瓦屋根工事店です。「ただ並べるだけが瓦葺きではない」という自負があり、これからの瓦屋がどうあるべきかなど、技術の継承などを見据えた活動に尽力しています。
古屋瓦店の強みは、お客さまの想いを汲んだ屋根リフォーム・雨漏り修理含む修理全般ができること。職人にとっては100ある現場のうちの1つでも、「全葺き替え」になるとお客さまにとっては高額な出費になる大変な出来事だと、古屋さんは捉えています。
「家を直す工事って一大事ですよね。自分でできるものではないし、費用もかかる。お客さまの『こうしてほしい』という要望に、私たちが『それは(面倒だから)やめたほうがいい』なんて言ってはダメ。お客さまは大切な家を我々に託したわけです。もし自分の家だったら……想像力を働かせて、できるかぎり応えたいですね。ただ、プロの目から見て無理な工事や不要な工事は、理由をきちんと説明します」
また、古屋さんが実際に屋根リフォーム・修理の際に留意しているのは、工事終了後の点検について声をかけること。
「屋根というのは一般にお客さまが思うよりも風雨にさらされて過酷な状態にあります。3年、5年に1度プロに点検してもらって些末な不具合を発見しておけば、雨漏りなどの大きな被害になるのを防げます。水漏れを起こしてしまうと、壁の内側や室内のクロス修理も発生します。頻繁な点検でトータルの費用が違ってくるんです」
また最近は瓦の形も様々で、屋根リフォーム・修理の際に、昔は無かった迷いがお客さまに生じるそう。そのような時も、古屋さんの瓦に対する深い造詣がものを言います。
「全葺き替えのお客さまで、洋瓦から和瓦にしたいという要望でした。屋根リフォームを機会に雰囲気を一新させたいとのことでね。ただ点検の結果、和瓦にするとおさめの悪い箇所が出てきそうだったんです。そこで私がした提案は、『和モダン』です。茶や黒の和瓦ではなく、いぶしの銀黒の平板瓦にすると和瓦では出せない良い雰囲気になります。お客さまがその提案を大変喜んでくれたので、私も嬉しかったです」
ここ、山梨県甲州市塩山下塩後は農村地帯。畑が多いため瓦と瓦の間に土ぼこりが溜まり、それが原因で雨漏りを起こす場合があるそうです。
「最近多いのが、土ぼこりが瓦に必要な隙間をふさいでしまう例。水がうまく雨樋に流れていかなくなるので、当然雨漏りになってしまうんですが、土ぼこりが原因の場合は、平瓦をめくって掃除をしただけで改善します。瓦葺き職人は水の気持ちが読めないとね。どこに流れていきたいのか見極めて修理します。あと、このあたりは別荘が多いんです。雨漏り修理の依頼にはこちらも慎重な見積もりを出します。日常使っている家ではないから、さほどお金をかけたくない事情をくみ取ることが多いです。ご年配の方しか住んでいない家も同様で、家をどれだけもたせたいかというヒアリングは丁寧に行います」
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MESSAGE
3年5年のこまめな点検で修理費用を節約。美しい瓦屋根住宅で気持ちよく暮らしてほしい
古屋瓦店のアフターサービスは、連絡があればいつでも点検に参りますと柔軟な対応です。その他、完工時に3年後と5年後の点検を勧めています。状況に応じ、問い合わせをしてほしいとのことです。
最後に「やねいろは」をご覧になっている、瓦屋根の不具合や雨漏りでお困りのお客さま、そして屋根リフォームや修理を検討されているお客さまへメッセージです。
「お客さまが瓦屋根をどう修理したいのか、打ち合わせでしっかり聞かせていただきます。ご要望にそった最適な施工プランをお出しします。万が一、ご要望に沿えない場合は、何がどうできないのかしっかり説明いたします。また、瓦は長持ちする屋根材料とはいえ、永遠にもつものではないんです。こまめな点検でトータルの修理費用を抑えられるのは間違いありません。疑問がありましたら、何でも聞いてもらえたらと思いますので、お気軽にお問い合わせください。ご連絡、お待ちしております」
瓦屋根リフォーム・修理の話の他に、「これからの瓦業界」についても熱意を持って話してくれた古屋さん。瓦葺き技術に高い誇りを持つ一方で、瓦屋根の普及や次世代の職人の育成にも考えを巡らせます。
「尊敬する職人から受け継いだ瓦葺きの真髄を、後世に残したい」
通常の仕事の他に、それらの展望にまで力を尽くすのは容易ではありません。それでもなお、お客さまが求めるよりよい瓦屋根と瓦業界の未来のために、古屋さんは奔走する毎日です。
(2019年9月取材)
(2024年11月加筆修正)
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屋根修理・屋根リフォーム事例(古屋瓦店)2件

屋根工事(取替)
S.K様 (山梨県山梨市)
更新日 2024.04.18
before
after
- 建物種別
- 一戸建て
- 価格
- 5〜10万円
- 施工期間
- 0〜1日
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屋根工事のクチコミ評価(古屋瓦店)2件
新着クチコミ
ユーザーからのコメント
家から近い工事会社で工事価格も良心的だった。相談もしっかり聞いてくれて良かったです。
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工事店プロフィール(古屋瓦店)
一番の強み |
土地の特徴をふまえた的確な修理と瓦の技術を活かした丁寧な施工が行えるところ |
会社名 |
古屋瓦店 |
対応工事 |
|
従業員数 |
社員:1名 専属外注:0名 |
保有資格者 |
一級かわらぶき技能士:1名
巻上げ機運転者:1名
丸のこ等取扱従事者:1名
研削砥石の取替え等の業務に係る特別教育:1名
職長安全衛生責任者:1名
足場の組立て等作業責任者:1名 |
特徴 |
リフォーム業
瓦屋根工事業 |
対応エリア |
中部地方
|
アフターフォロー体制 |
全日本瓦工事業連盟の第三者賠償責任保険加入済みです。
施工の3年後、5年後の点検をお勧めしています。
何かあればいつでもご相談ください。 |
やねいろはケア |
未対応 |
代表者 |
古屋 賢一 |
代表者経歴 |
古屋瓦店 代表
1993年3月:塩山市立塩山中学校 卒業
1993年4月:山梨県立塩山高等学校 入学
1996年3月:山梨県立塩山高等学校 卒業
1996年4月:古屋瓦店 入社
2012年1月:古屋瓦店 代表 就任 |
所在地 |
〒404-0044
山梨県甲州市塩山下塩後785-1
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|
営業時間 |
毎週月~土曜日 8:00~18:00 |
定休日 |
日曜日、祝日、年末年始休業、大型連休(ゴールデンウィーク)、夏季休業(お盆休み) |