天皇陛下の退位が決定し、最後となった平成30年(2019年)の早春。
なんとなく皆さん元号が変わるということで、そわそわしている気がします。
さて昨年も参加した全瓦連技能グランプリ。
今年は厚生労働省と中央職業能力開発協会、一般社団法人全国技能士会連合会主催で
第30回技能グランプリが神戸国際展示場などで開催されました。
その中で瓦屋根職人のNo.1を決める大会が
技能グランプリ(かわらぶき部門)として行われました。
「技能グランプリ(かわらぶき部門)」とはどんな大会なのでしょうか。
こちらの大会は、全国の選ばれし瓦葺き師たちが、
同じ課題をいかに正確に、美しく葺けるかを競うものです。
今回は2019/3/1(金)に開会式。
3/2(土)と3/3(日)2日間で9時間半。
その中で瓦と必要な資材を用いて課題となる屋根瓦葺きに挑戦します。
3/3(日)の15:00~16:00に競技作品展示後、3/4(月)に審査発表が行われます。
今回の課題はどういったものだったのでしょうか。
競技仕様について見ていきましょう。
それでは、今大会で規定として定められた事項について、
今大会で配布された冊子から引用します。
【課題】
前日(3/1(金))に施工架台の抽選を行い、2時間を限度として、
瓦の点検・瓦座打ち・瓦桟打ち及び地割り、架台に補強棟役物の取り付け、
緊結線の取り付けを認める。
【仕様】
1.仕様瓦は淡路いぶし瓦53A判防災切落桟瓦を使用する。
2.全ての瓦の納まりは現場作業を想定した施工とし、雨仕舞に配慮すること。
3.瓦の葺き方は引掛桟空葺き工法(馴染み土の使用は可)とする。
ルーフテープを垂木通りに野地先まで使用し、瓦座、瓦桟木をその上に留め付ける。
4.軒瓦は、施工図を参照のうえ一文字軒瓦と万十軒瓦を使用し、
軒瓦の尻部分は銅線緊結もしくはビス留めとする。
5.一文字・万十切隅瓦は、左右ともに2箇所を野地よりトンボにて緊結し、
互いに結び合わせる。
6.軒瓦の出寸法は、一文字・万十切隅瓦ともに、
瓦座外面から60~90mm(流れ寸法)とし通りよく納める。
なお、計測の位置は瓦座から軒瓦の水垂れ外面までの寸法とする。
7.桟瓦は全数ビス留めとし、隅の左右勝手瓦に穴をあけ、野地よりトンボにて緊結、
又は下地にビスにて留め付ける。定着用に葺土を使用してもよい。
8.駒巴瓦は、2箇所を野地よりトンボにて緊結する。
9.大棟の半端瓦の隙間は、30mm以内とする。
10.隅棟の左右勝手瓦の隙間は、30mm以内とする。
11.袖瓦は、尻部2箇所を銅線緊結もしくはビス留めとし、
袖拝み部は左右の袖瓦を留めに納める。
又、袖瓦下端外面と架台外面までの寸法は左右対称とし、
袖瓦の出寸法は納まりは破風板より左右対称とする。
12.巴瓦は、袖瓦上に留めに納め、2箇所を野地よりトンボにて緊結する。
13.鬼瓦の緊結は、#19の銅線を使用し3本を縒状にして野地に緊結する。
14.鬼瓦の据付け位置は自由とし、大棟割熨斗瓦3段積み、隅棟割熨斗瓦2段積み、
素丸瓦の仕様とする。
15.軒・袖・角等外周部の瓦はパッキン付きビスにより、補強し野地に留め付けをする。
16.葺き土は南蛮漆喰(シルガード・白)とし、25kg入り7袋とする。
17.瓦を破損した場合は、申し出により支給するが、減点の対象とする。
18.副資材の追加支給はしない。但し南蛮漆喰(シルガード・白)の追加が認める。
19.作業時間を超過した場合は、失格とする。
【注意事項】
1.合端は支給の合端台を使用し、各自の競技架台の前ですること。
2.他人の工具の貸借は禁止する。
3.副資材として、接着剤・粘着テープを用いることは不可とする。
【器具工具】
使用する器具・工具は技能検定仕様に準ずる。
ただし木工用ノミと電動工具は充電式、電動式インパクトドライバーを使用可とし、
充電は所定のコンセントを用いる。
治具は認めるが横50cm縦30cm高さ20cmの箱の中に入るものとする。
(組み立て又は連結して箱の中に入らない物は認めない。)
競技委員が認めない治具は使用不可。
尚、使用に際し判断に迷う治具については当日競技委員に判断を仰ぐこと。
【Q&A】
(1月23日現在)
Q1:架台の瓦棒の下に設置される縦桟テープ(ルーフテープ)ですが、
どちらのメーカーのどの製品が分かりましたら、ご教示いただけますか?
なにとぞよろしくお願い申し上げます。
A1:一般に流通しているルーフテープを手配します。
特定のメーカー名を指定しての手配ではないため、
メーカーについての回答はできかねます。
仮にメーカーによる誤差があったとしても、軽微なものと認識しております。
Q2:課題内容に架台の大きさ等の仕様は表記頂いているのですが、
作業スペース等の出場者一人一人に割り振られるスペースは
どのくらいになるのでしょうか?
A2:会場レイアウトの詳細はまだ決まっておりませんので、
実寸法は回答できかねます。
参考までに、前回大会(29回大会)での競技エリアは
4900mm×5600mmでした。
Q3:そのスペースに架台はどのように配置されるのでしょうか?
A3:公表しておりません。当日、会場でご確認ください。
いかがでしょうか?
去年よりも今年の方が規定が増えていますね。
こういった規定のもとに、全瓦連技能グランプリは開催されています。
一般的に、出場選手たちは2~3か月間、このグランプリのために時間を費やし、
その際の瓦代などの費用は、所属工事店が選手のために投資すると言われています。
中には出場する職人さんに100万円掛けたという社長も……。
びっくりですね!
そのため、選手も工事店も力が入っています。
また、そんな選手たちを支えるのが、同じ県の組合に所属する、
他の工事店の先輩方です。
黙々と練習する選手に付き合ったり、当日は応援団として会場に駆けつけたりと、
それぞれの方法で力を注ぎます。
(当日、会場にはそれぞれの選手への横断幕も掲げられていますよ。)
周りの工事店の応援が選手を支える、この様子はまさに、
オリンピックの選手とコーチ、そして応援団を彷彿とさせますね。
「『瓦葺きの大会』があるとは知らなかった……」
そんな方に、是非一度ご覧に入れたいのがこの大会です。
会場に足を運べば、そこは熱気と緊張感に溢れた、葺き師たちの戦場!
今年の会場は神戸の神戸国際展示場。
「日本一の屋根瓦職人を決める大会
『第30回技能グランプリ2019(かわらぶき部門)』
に行ってきました!~観戦レポート(後半)~ 」
の記事で、熱戦の様子をご覧ください!
https://yaneiroha.com/blog/yane/article/96/
(つづく)
引用:日本屋根経済新聞2019年2月18日号p5、株式会社日本屋根経済新聞社
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