皆さまは屋根の結露をご存知でしょうか?
冬の窓ガラスに発生する結露は見たことがあるけど、「屋根でも結露するの?」という方がほとんどだと思います。
屋根の雨漏りは天井に水が垂れるのでわかりますが、屋根の結露はなかなか発見することができません。
天井上には、小屋裏と呼ばれる空間があります。
屋根の結露はその小屋裏で結露するので、気付いた時には、屋根がひどく劣化していることも多いようです。
また、結露は住宅瑕疵担保保険の適用外となっているため、お施主さまに補修費用の負担が発生することもあります。
そんな知られていない厄介な「小屋根の結露」とその対策である小屋裏換気をご紹介します。
小屋裏が結露した事例
先程から出ている小屋裏(こやうら)が何となくピンと来ない方もいらっしゃると思います。
イメージ図を描くとこんな感じです。
小屋裏のイメージ図
屋根面にある野地板と水平な天井との間にある三角形の空間を小屋裏と言います。
日本では半数以上の住宅において、小屋裏がある仕様となっています。
上写真は小屋裏が結露している様子で、その概要を簡単にご紹介します。
・築2年未満
・木造軸組み住宅
・屋根材:金属屋根材(立平葺き)
・断熱方式:天井断熱
雨漏り調査の依頼で伺ったところ、北面の小屋裏野地合板が結露していました。
棟を挟んですぐ隣の南面は全く結露していませんでした。
小屋裏の野地合板が結露する仕組みを簡単に説明します。
小屋裏空間は室内の影響を受けて、温度・湿度とも高い状態となります。
冬の夜間、屋根は放射冷却により、外気温度よりも5℃程度温度低下します。
屋根の野地板はその影響を受けて、冷やされ、小屋裏に面している合板表面で結露が発生するという仕組みです。
3.屋根の結露対策(小屋裏換気編):その対策は小屋裏換気
ではどうやったら小屋裏の結露を防ぐことができるのでしょう?
理科的な感じで言いますと以下の3つとなります。
①小屋裏空間温度を下げる
②小屋裏空間湿度を下げる
③野地板の温度を高くする
それでは、上の3つを具現化できる建築的な手法を考えてみますと、
③の野地板の温度を高くすることは屋根材を変更するなど、比較的大掛かりな対策となります。
一方、①、②は小屋裏換気を行うことで、実現できます。
小屋裏換気の手法には、大きく3つあり、軒天換気、妻換気、棟換気があります。
各手法によって、換気効率が変わるため、仕様書で天井面積に対応する換気面積以上を設置するように求められています。
効率面を考えると棟換気が優れているので、最近の住宅では棟換気(軒天吸気-棟排気)を設置するケースが増えているようです。
小屋裏の結露事例をご紹介しました。
その対策としては小屋裏換気が比較的簡単に行えます。
小屋裏換気は3つの手法、軒天換気、妻換気、棟換気があり、効率的なのは棟換気です。
各種屋根材に対応した棟換気が準備されています。
瓦用棟換気(アンダーコンポ換気棟)の設置
棟換気の設置費用は比較的安価ですので、屋根には棟換気を設置されることをお勧めいたします。
(株式会社神清 神谷昭範)
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