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「屋根工事」について

2018.03.07化粧スレート屋根の踏み割れ

スレート屋根は踏み割れが多発!?

1.はじめに


皆さまは化粧スレートという屋根材をご存知でしょうか?
そんなの聞いたことが無いとおっしゃることが大半だと思いますが、実は一製品としては、日本でもっとも採用されている屋根材が化粧スレートなんです。
ちなみに、現在出回っている化粧スレートのほぼ100%は「カラーベスト」と呼ばれる商品です。


そんな化粧スレートについて、住宅の10年点検時、踏み割れなどのクラックが見つかるという問題が発生しています。

化粧スレート屋根の谷部

踏み割れの原因として、いくつかの説を屋根職人さんから聞くことがあります。
例えば、施工ミス(釘の打ち過ぎ、打たな過ぎ)とか、水切り板金のハゼが高いとか、アスベストを混入しなくなったからとか言われています。
実際の踏み割れの原因はどうなっているのでしょうか?
踏み割れの原因を調べ、その対策を検討してみます。

2.化粧スレート屋根の踏み割れ

実際の化粧スレート屋根において踏み割れで、差し替えとなった物件の写真からその原因を考えてみました。

化粧スレート屋根の踏み割れ

この写真の踏み割れは3種類(赤〇、青△、白□)の異なる原因が混在しています。
赤○:化粧スレートの横継ぎ目位置の踏み割れ
青△:化粧スレートの留め付け釘による踏み割れ
白□:谷板金・ハゼ部の段差による踏み割れ
この3種類の原因が他の屋根でも多いので、この原因について詳しく解説します。

3.原因とその対策


①化粧スレートの横継ぎ目位置の踏み割れ(赤○)
赤○はスレートの上下段に横継ぎ目がある位置の踏み割れです。
この部分に入るひび割れの特徴は縦方向に入ります。
スレートのこの位置はスレートの構造的な弱点と言えます。
横継ぎ目に人が載ると、荷重がスレート1枚分と野地合板にかかります。
それ以外では、荷重はスレート2枚分と野地合板にかかるので、スレート1枚分弱い場所なのです。
荷重がかかった野地合板はたわみが発生します。
そのたわみ量は野地合板の厚さ、合板を支える垂木や母屋の配置によって異なります。
結果、野地合板のたわみ量が大きい場所では、その上の化粧スレートのたわみ量も大きくなり、4mm以上のたわみが発生すると潜在的なクラック(その場の目視では発見できない程度のクラック)が入り、経年で成長して踏み割れとして発見されます。


②化粧スレートの留め付け釘による踏み割れ(青△)
青△は化粧スレートの留め付け釘が原因で踏み割れたものです。
縦、横、ななめ方向にもひび割れが発生し、場所にも規則性は見られません。
通常、化粧スレートは屋根材表面に4本の釘で留め付けられています。
化粧スレート自体の曲げ強度は弱く、下図のように野地合板に密着して施工されます。

化粧スレート屋根の断面図

化粧スレートの表面にそのまま釘を打つ設計となっていますので、釘頭の厚み分が表面から飛び出ていることになります。
釘頭の上部には、もう1枚化粧スレートが施工されます。
その部分を拡大してみます。

化粧スレート釘頭部分の拡大図

釘頭の厚みは1mmですが、釘の打ち込み状態が少なく、釘頭がわずかに飛び出していると、その上部に人が歩いた場合に、せん断応力がかかり、上部の化粧スレートに潜在的にクラックが生じます。
また、釘頭を打ち込み過ぎると打ち込んだ衝撃により、その釘孔周辺に(最上位ではなく、2番目の化粧スレートに)潜在的なクラックが生じます。

③谷板金・ハゼ部の段差による踏み割れ(白□)
白□は谷板金・ハゼ部の段差により踏み割れしたものです。
屋根材メーカーのマニュアルでは屋根下地の段差は3mm以下、垂木間隔当たりの不陸も3mm以下となっています。
谷板金のハゼ折り高さは2~3mmと規定されています。
板金のハゼが絡む部分に屋根下地の段差や不陸がありますと(3mm+3mm)の計6mmとなり、スレートのたわみ量が大きくなり、そこを歩くことで潜在的なクラックが発生します。


厄介なことに、①~③の潜在的なクラックは施工直後・化粧スレート屋根材の表面がきれいな期間では、発見できません。
潜在的なクラックは周辺環境の影響により徐々に成長します。
1)降雨による屋根材の伸び
2)炎天下での屋根材の収縮の繰り返し
3)材料(セメント)の中性化等の屋根材の収縮


これら屋根材の収縮により、やがて、目視できる程度のひび割れへと成長していきます。
つまり、化粧スレート屋根の10年点検等で発見されるひび割れは施工時の踏み割れが原因と言えます。


次に、その対策としては以下が考えられます。
・屋根の躯体を丈夫にしてもらうことで、野地合板のたわみ量が少なくなり、踏み割れを減少させることができます。
・住まい手は、住宅全体の2年点検時に、化粧スレート屋根の表面を点検してもらい、踏み割れを交換してもらうことをお勧めいたします。
施工直後は発見できませんが、2年点検では見つけることができると思います。
さらに、10年が経過する前にも屋根の表面を点検してもらいましょう。

4.まとめ


化粧スレート屋根の踏み割れに関して、原因とその対策をご紹介しました。
化粧スレート屋根は単品としては、日本一使用されている屋根材とも言われています。
新築時、スレート屋根の価格が比較的リーズナブルであることも人気の理由の1つと言えます。
しかし、築10年以降、再塗装などのメンテナンスを行うときに、化粧スレート屋根材の踏み割れが多く発見されています。
これらはお施主さま負担での修理となってしまいます。
新築時に発生した踏み割れですので、しっかりと定期点検を行うことで、負担なく交換してもらいましょう。


(株式会社神清 神谷昭範)


 

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