みなさんは「ビス」と「釘」の違いをご存知ですか?
似ているようで別のもの。
それが「ビス」と「釘」と思った方もいるのではないでしょうか。
今回はそんな「ビス」と「釘」についてのお話です。
あんなに小さなものの中にもさまざまな工夫がなされているのです。
それでは一緒にみていきましょう。
みなさんは「ビスを揉む」という言葉を聞いたことはありますか?
何かを「留め付ける」ときにビスを用いますが、どうして「揉む」というのでしょう?
その理由は、ビスの固定方法にあります。
もともと、ビスは錐(きり)などで固い材料に穴を開けてから、ねじ込むように留め付けを行っていました。
その「錐を手で回して穴をあける」ことを「揉む」と言い、そこから、「ビスを揉む」というように言われているそうです。
では、本題です。
釘とビスは、どう違うのかというところについて見て行きましょう。
まず、釘は金槌を使って上から打ち込むのに対して、ビスは本体の表面にぐるぐると螺旋が刻まれており、回転させながら打ち込んでいくものです。
その分、留め付けた部分がゆるみにくいという性質、そして途中で折れ曲がりにくい、打ち間違えても逆回転をさせながら引き抜きやすいという性質があるのです。
また、ビスは「上下方向の動き」に強く抵抗する性質があります。
例えば、地震などの横揺れへの抵抗は小さいですが、留め付けていたものが持ち上がってしまうという場合、ビスの抵抗は大きいのです。
次に、釘について見ていきましょう。
釘とビスの違いについては、ビスの説明の際にもお伝えしましたが、釘は金槌などで上から打ち付けるもの、ビスは回転させながら留め付けるものです。
また、釘は上から打ち付けているので、「上下方向の動き」に対する抵抗がビスほど強くないものの、「横方向の動き」に対する抵抗はビスよりも大きいのが特徴です。
では釘の中にはどのような種類があるのか、使用場面と合わせて見ていきましょう。
釘の種類:
・丸釘:材質がユニクロムのものは木材に、ステンレスのものは瓦、アルミサッシ、アルミ板、すのこなどに適しています。
・スクリュー釘:塀、ベニヤ板、ボード下地天井などに適しています。
・コンクリート釘:コンクリートやブロックにパイプや電気器具を取り付ける際に適しています。
・7型釘:瓦を固定する際などに用いられます。数字の7の形をしていることから、このように呼ばれています。L型釘とも言われます。
4.屋根工事の道具:瓦屋根工事ではビスと釘の両方の使用を推奨
現在の瓦屋根工事では、ビスと釘の両方を用いることがガイドライン(瓦屋根標準施工要領書)にて定められています。
標準仕様部材とされているのは、「瓦緊結用釘」「補強用釘(パッキン付ビス)」「7型釘」です。
それぞれどのようなものかというと。
「瓦緊結用釘」は、瓦を土台である桟木に留め付ける際に用います。用いられるのは直径2.4mm以上のステンスクリュー回転止め加工釘で、通常長さは55mm以上とされています。
次の「補強用釘(パッキン付ビス)」は、材質は防錆機能に優れたステンレス製とされています。
さらにパッキン部分は対候性・耐亀裂性の高い材質とされています。
そして「7型釘」は、長さが75mm以上のステンレス製釘を使用します。これは、瓦をステンスクリュー釘で留め付けた後にさらに補強するために用います。
このように、釘とビスの特徴を生かしながら瓦屋根も施工されています。
実際に私たちからは見えないところですが、釘やねじ一本の中にも安心して住むための知恵が詰まっているのです。
参考:「瓦屋根標準施工要領書(抜粋)」
一般社団法人全日本瓦工事業連盟、全国陶器瓦工業組合連合会、2016年10月
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