「直せない屋根はない」意志を持ち、未来へ繋がる屋根・雨漏り・雨樋工事を
有限会社生野瓦工業
大分県大分市大平の有限会社生野瓦工業は、瓦やスレート全般の屋根工事、太陽光パネルの設置を手掛ける屋根工事店です。雨樋修理にも対応可能。その他、金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)工事や防水工事は窓口となり対応しています。地域との繋がり、人との繋がりを大切にする温かい会社です。
工事店の想い
PERSON
技術と想いを次の世代へ繋ぐ四代目。瓦のメリットを広めて、瓦屋根の景色を守りたい
有限会社生野瓦工業は、大分県大分市大平に拠点を構える屋根工事店です。1913年(大正2年)創業の老舗の工事店であり、代表取締役の生野佑侍さん(以下、生野さん)は四代目経営者。幼い頃から瓦の製造を見て育った生野さんに、これまでの経緯や仕事への想いについてお話を伺いました。
生野瓦工業がある大分市大平にほど近い佐賀関は、陶器や瓦などの製造が盛んな地域でした。昔は近隣に約100件もの瓦屋があったそう。二代目だった生野さんのおじいさんは装飾瓦を作る鬼師(鬼瓦を作る職人)として有名で、テレビや企業のCMに出演するほどの知名度がありました。三代目のお父さんは30歳まで福岡で営業マンとして働いた後に実家へ戻り、製造だけではなく施工部門も立ち上げました。
そのような家で育った生野さんは、家業である瓦製造の工場で仕事をするおじいちゃんのそばで粘土遊びをしたり、鬼瓦づくりを手伝ったりしていました。子どもの頃は人見知りが激しく、母親の後ろに隠れがちだったといいます。近所の人たちは生野さんが挨拶をすると「ゆうくんが挨拶するようになったんやな!」と、驚くほどだったそう。
小学校4年生から野球を始め、中学ではソフトテニス部に入部。才能を見出され、テニスの推薦で高校へ進学し、寮生活を送りながら真剣にテニスに打ち込みました。大学進学後もテニスを続けましたが、高校での厳しい寮生活から解放された反動で、テニス以外の自由な大学生活も謳歌したといいます。生野さんは瓦屋を継ぐつもりはありませんでした。しかしお兄さんの死をきっかけに、大学卒業後に家業を継ぐ決意をしたそうです。
「家は、年子の兄貴が継ぐ予定で修業をしていたんですよ。兄とは子どもの頃はけんかばかりしてたんですが、大人になってからは優しくてね。亡くなってしまって、修業の道半ばだったんだろうなという兄貴の気持ちを思うと、兄貴の夢が僕の夢みたいに考えるようになって、それで自分が継ごうと決心したんです」
生野瓦工業に入社後、最初の10年間は職人としての修業期間でした。大変な肉体労働に嫌気がさすこともありましたが、慣れてくると「肉体労働で筋トレしながらお金もらえるんだったらこんないいことはない。このまま頑張ろう」とポジティブに考えるようになりました。ある時、自分が手掛けた屋根を見て「あれは俺がやったんやな」と自分の作品だと誇らしくなり、そこからやりがいや面白さを感じるようになったといいます。
入社10年を過ぎた頃、先代のお父さんに代わり営業も担当するようになりました。生野さんの不器用ながらも誠実な人柄が工務店や設計事務所に受け入れられ、少しずつ仕事を受注できるように。そして結婚を機に代表取締役に就任し、経営者としての責任感も強くなりました。瓦工事の他に新たに太陽光パネルの設置も事業に取り入れて、工事店としての地盤を固める努力もしてきたのです。
「将来を考えると、瓦工事だけでは大変だろうと思ったんです。僕が代表になった時は経営が厳しい時期で、新しいことを始めなければいけないという憂いもありました。太陽光パネルは電気工事店が設置するものという認識だったんですが、屋根を熟知している瓦屋がやってもいいじゃないかと、そういう話を業者さんからいただいてね。本格的に引き受けるようになってからはかなりの受注数になり、これまでで1000件以上の実績になりました」
生野さんは大分県瓦事業協同組合の事務局も引き受け、業界全体の発展にも貢献。古くからの瓦に関する知識と経験を生かし、他の瓦屋では対応できないような修理や施工も請け負っています。
「もう一度、瓦というものを盛り上げたいという気持ちがあります。今は板金屋根が多くなってきているんですが、瓦の良いところを世の中に周知して、瓦が復活する未来になるよう何かしていけたらいいですね」
生野さんは6歳と3歳と2歳のお子さんの父親でもあります。瓦を盛り上げたい想いと同様に、四代続いた家業を次の世代へと繋げていくという目標もあり、より良い会社にしていく努力を日々続けています。
「大正2年創業、110年以上続いてきた工事店なので、あともう100年続く会社にしていきます。僕が四代目、できれば自分の子どもに五代目になってほしいなと、そんなことも考えているんですよ。それまでに少しでも会社を大きくしたいと思いながら日々動いています。職人も育てていきたいですし、好奇心があって前向きな若い人と働けたらいいですね」
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WORK
瓦1枚から屋根全体まで、あらゆる悩みに対応する幅広い技術力で地域に貢献していく
大分県大分市大平の生野瓦工業は、瓦屋根工事や太陽光パネルの設置をメインに行う屋根工事店です。「大分県の屋根を強い屋根に!」という目標を掲げ、災害や気候変動に負けない屋根をつくる役割を自負しています。
生野瓦工業では、お客さまとの信頼関係を大切にした丁寧な対応を心がけています。見積り段階からお客さまの要望をしっかりと聞き、工事内容を詳しく説明。写真付きの資料を用意して、専門用語をわかりやすく説明することで、工事の全体像をイメージしやすくしています。
「難しいことを言われてよくわからないと『はいわかりました』と言ってしまいがちですよね。僕もそういうタイプです。なのでお客さまがそうならないよう、瓦用語はわかりやすい単語に置き換えて、写真も使って説明しています。一つひとつ説明した上でご契約いただくよう心掛けています」
屋根工事の現場では、さまざまな状況に対応できる技術力が求められます。生野瓦工業の強みは、多様な知識と経験に基づいた確かな技術にあります。ある築30年の日本瓦の住宅では、雨漏り修理をしてほしいという相談を受けました。谷部分の銅板に穴が空いていたためそこに雨漏りが確認できましたが、詳しい調査をしてみると表面の銅板の劣化だけではなく、木材の腐食やシロアリの被害まで発見されました。
「その家は大掛かりな修理が必要でした。足場を組み、大工さんと協力して構造材の交換を行い、水が外に出やすくなるようルーフィングを引き直しました。最後にステンレスの谷板金を新しく設置し、新しく瓦を葺き直して完成ですね。あと、家の状態によっては、屋根の庇(ひさし)の板金交換も承ります。先日いただいた相談では、庇が錆びてめくれている状態で、塗装では補修できないほど傷んでいたので、古いものをカットしてから下地とルーフィングを整え、新しい板金を差し込みました」
また、築40年のコロニアル屋根の住宅では、屋根の変形が気になるというお客さまからの相談で現地調査を実施しました。実際に確認すると、以前の塗装工事の際に不適切な処理が行われていたそうです。
「下地の合板が湿気で劣化して、パリパリ剥げる状態になっていました。ルーフィングの上にルーフィングを重ねていたために通気性が悪くなり、結露が起こっていたんだと思います。もう下地として使えない状態になっていたので、それらを全て取り換える必要がありました。板金でのカバー工法(※1)、部分的な補修、ルーガ(※2)への葺き替えの3パターンで提案して、最終的に瓦っぽい屋根にしたいというご要望で、板金ではなくルーガで依頼をいただきました。ルーガを使う場合は、下地に直接釘を打つ部分があるので木下地をしっかり作らないといけませんね」
そして生野瓦工業のさらなる強みが、寺社仏閣などの特殊な瓦工事に対応できることです。ある寺院からの雨漏り修理依頼で調査したところ、下り棟(くだりむね)という急勾配の棟部分から鬼瓦が滑り落ちそうになっている危険な状態を発見しました。
「以前の工事から50年以上経っているような古いお寺でした。昔は鬼瓦を粘土や漆喰で固定していなかったため、土台がもろくなって鬼瓦が滑り落ちそうになっていたんです。まず下り棟の隣にある掛瓦と棟(※3)がぶつかった所、そこで雨漏りを起こしていたので、下り棟の部分を解体して雨漏り修理を行ってから下り棟の葺き直しですね。下り棟は、全てを撤去した後に滑り止め金具を設置してから漆喰を置いて元の瓦を使って葺き直しました。瓦は同じところに戻すために番号をふって作業しています。完成後、お客さまには『これで安心やな』と喜んでいただけました」
また、「本葺き」と呼ばれる古い工法の屋根修理も手がけています。平瓦と丸瓦を別々に葺く伝統的な工法で、長さ10mにも及ぶ谷(※4)部分の修理は特に高度な技術が必要です。谷が長くなると流れる雨水の量が多くなるため、屋根の上で水が逆流しない工夫が欠かせません。
「丸瓦を使う本葺きは、勾配が強くて長いので屋根の先端に重量がかかってしまう構造なんです。屋根に水がたくさん流れた場合に、その水が逆流しないように入れる谷用のスポンジがあって、それを敷いた上に瓦を納めていきます」
大分県大分市の屋根工事の特性について尋ねました。大分県内は温泉が多く、湯気や硫黄の影響で金属が錆びやすくなります。そのため、生野瓦工業では鉄の釘やビスではなく、全てステンレス製の金具を使用しています。
「別府の辺りは温泉の湯気が鉄を溶かしてしまうんですよ。沿岸部もそうですね。潮風の影響があるので金属の錆に気を付けなければいけません。その地域では、基本的に全てステンレスの製品を使っています。ガイドライン工法に則った方法で施工すれば、丈夫な仕上がりになりますよ」
瓦は、日本に古い時代から存在している屋根材です。金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)に比べて音が静か、熱を吸収して室内温度の上昇を抑える効果、そして何よりも長い歴史と実績のある耐久性が瓦の魅力です。生野瓦工業は創業100年の厚みのある実績を活かし、瓦の利点を熟知しています。生野さんは、そうした瓦の良さを伝えながら、お客さまのニーズに合わせた最適な提案を行っています。
※1 カバー工法・・・金属屋根や外壁の重ね張りをするリフォーム方法
※2 ルーガ・・・ケイミュー株式会社から販売されている、軽量セメントと有機繊維で製造された屋根材
※3 棟・・・屋根が交差して山型になったその部分。または、屋根の頂上にある水平な部位
※4 谷・・・屋根面と屋根面の繋ぎ目で雨水が流れる排水機能をもつ部分
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MESSAGE
「自分たちがやった屋根は一生面倒を見なければ」という想い。確かな技術と誠実な対応を
生野瓦工業では、屋根工事完了後もお客さまに安心していただけるよう、アフターフォロー体制も整えています。葺き替えや改修工事についてはご要望により保証書を発行していますが、万が一の不具合には年数に関わらず、簡単な修理であれば対応しています。
「自分たちがやった屋根は、一生面倒を見なければという感覚でやっています。お客さまに、以前工事した屋根なのに瓦がもうありませんと言うのはつらいので、古い瓦を色々ストックしてなるべくご要望に応えられるよう準備しています。なので、他の瓦屋では対応できないような修理も可能ですよ」
また、希望するお客さまには、定期的な屋根点検サービスも提供しています。特に樹木が多い場所では、雨樋に落ち葉や小枝が詰まりやすく、定期的な清掃が必要です。こうした点検を通じて、小さな問題を早期に発見し、大きなトラブルを防いでいます。
最後に「やねいろは」をご覧になっている、雨漏りや屋根の劣化でお困りのお客さま、そして屋根リフォームや屋根修理を検討しているお客さまへメッセージです。
「生野瓦工業は、『どんな仕事が来ても極力断らない、直せない屋根はない』そんな気持ちで仕事をしています。どんな相談が来ても、何らかの対策はできるように体制を整えています。住宅工事にはそれぞれの専門職人が必ずいるんです。塗装が必要だと思えば塗装屋さんを呼びますし、屋根のことならしっかり僕たちが見るので安心してください。雨樋修理などの板金工事でもちょっとした修理はもちろん相談に乗れます。そして昔ながらの瓦葺きも知識や技術、実績は他の瓦屋さんには負けないぐらい持っているので、屋根について困ったことがあったら、気軽に相談してくださいね。うちの職人は皆、明るい感じでフットワークも軽いです。板金の上に瓦を載せるという屋根のスタイル、そんな新しい試みもどんどんしているので、修理以外にも屋根リフォームで一新したい場合にもお問い合わせお待ちしております」
取材を通して、生野さんの屋根工事に対する真摯な姿勢と深い知識を実感しました。特に印象的だったのは、瓦という伝統的な屋根材への愛情と、それを次の世代へ繋げていきたいという強い思いです。地域に根差した職人の技と誠実さは、大切な住まいを任せるパートナーとして、大きな安心感を与えてくれるに違いありません。
(2025年3月取材)
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取材後記
有限会社生野瓦工業
地域に密着した屋根のプロフェッショナル
生野さんは大分県瓦事業協同組合の事務局も担当しています。子どもたちへの職業体験の場を提供するなど、地域貢献にもとても熱心でした。そして工事前の挨拶や作業中の声かけなど、きめ細かな配慮をしてくれるのもお客さまにとって安心ですね。企業の経営者が、町の人から「あの会社の社長さん」と顔を覚えてもらえるのは、何よりの財産だと思います。会社の顔として、そして地域の顔としてどんどんこの町で活躍してほしいです!
職人はマニアであれ!
お寺の工事から太陽光パネル設置まで、生野瓦工業の技術はものすごく幅広いものでした。明治・大正時代の古い瓦までとっておいて修理に備えているという徹底ぶりは、ただの屋根工事業を超えた文化財を守る意識も感じました。職人たるとも、こうでなくでは!と思えるこだわり、しかし昔ながらの堅い職人気質を一蹴するような、生野さんの柔軟な受け答え。現代を生きる職人の在り方を、楽しく拝見させてもらえた時間でした。
家族を慈しむ温かい経営者
仕事に打ち込む一方で、子育てを趣味と語るほど家族思いの生野さん。可能な限り保育園の送り迎えを担当し、子どもと一緒にアニメのフィギュア集めにもはまっているそう。「仕事より子どもとの時間を優先している方だと思います」と頭をかいていましたが、忙しい中で親子の時間を大切にしているなんて、とてもすてきなお父さんです!事業を残すためにも会社を成長させたいと語る様子には、会社や職人さんのほか、ご家族への深い愛情も垣間見えました。
細やか気配りで温かい気持ちに
生野さん、実は取材後に回答しきれなかった質問に対して丁寧な文書を作って送ってくださったのです。その文書の中には「自社や自分の強み、目標を考えるいい機会になりました」と温かいひとことが添えられていて、スタッフ一同感激しました。こういった細やかな対応の一つひとつが、創業100年を超える老舗の屋台骨になっているのだと思います。生野瓦工業が、次の100年をどう歩んでいくのか、見守り、応援していきたいと感じた取材でした!
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工事店プロフィール(有限会社生野瓦工業)
一番の強み |
長年続く老舗の工事店。技術と想いを次の世代へ繋ぐ代表が、お客さまの大切な住まいを守るため、あらゆる悩みに誠実な対応と幅広い技術力で施工を行っているところ |
会社名 |
有限会社生野瓦工業 |
対応工事 |
|
従業員数 |
社員:4名 |
建設業許可 |
屋根工事業(大分県知事許可(般―3)第9834号) |
保有資格者 |
一級かわらぶき技能士:1名
二級かわらぶき技能士:1名
瓦屋根診断技士:1名
瓦屋根工事技士:1名
巻上げ機運転者:1名
丸のこ等取扱従事者:1名
研削砥石の取替え等の業務に係る特別教育:1名
職長安全衛生責任者:1名
石綿取扱作業従事者:1名
足場の組立て等作業主任者:1名 |
特徴 |
リフォーム業
瓦屋根工事業
その他屋根工事業
雨樋工事業
太陽光工事業 |
対応エリア |
九州地方
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アフターフォロー体制 |
損害保険ジャパン株式会社の全瓦連第三者賠償保険制度に加入しています。
何か不具合などございましたら、迅速に対応致します。
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やねいろはケア |
未対応 |
代表者 |
生野 佑侍 |
代表者経歴 |
有限会社生野瓦工業 代表取締役
1996年3月:大分市立神崎中学校 卒業
1996年4月:大分県立中津工業高等学校 入学
1999年3月:大分県立中津工業高等学校 卒業
1999年4月:学校法人松山大学 入学
2003年3月:学校法人松山大学 卒業
2003年10月:有限会社 生野瓦工業 入社
2016年9月:有限会社 生野瓦工業 代表取締役 就任
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所在地 |
〒879-2114
大分県大分市大平751
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営業時間 |
毎週月~土曜日、祝日 8:00~18:00 |
定休日 |
日曜日、年末年始休業、大型連休(ゴールデンウィーク)、夏季休業(お盆休み) |