「できない」と言わない。技術を総動員して解決策を探る屋根工事と雨樋修理
筑後板金
岩手県花巻市湯本の筑後板金は金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)や金属系外壁の工事、雨樋修理をメインに手掛ける板金工事店です。その他スレート屋根工事にも対応可能。お客さまのニーズと職人歴30年の厚みある技術と知識を掛け合わせ、ご満足いただける屋根に仕上げます。
工事店の想い
PERSON
経営者・職人として培った堅実な実績。近年は指導者として職人育成にも尽力
筑後板金は岩手県花巻市湯本に拠点を構える板金工事店です。金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)や金属系外壁、雨樋(あまどい)を中心とした板金工事全般を施工します。工事店としての創業は1983年、代表の筑後泰夫さん(以下、筑後さん)のお父さんが親戚から板金店を引き継いだのが筑後板金のスタートでした。
筑後さんは高校卒業後すぐに筑後板金で職人修業を始めました。1995年から板金業に携わっているベテラン職人で、現在は岩手県板金工業組合の常任理事を務めています。全国板金競技大会での入賞経験、そして技能大会の指導員を担う等、社外での活動にも尽力しており、ここ岩手県の建設業界で厚い信頼が寄せられているのがわかります。
「子どもの頃の板金屋のイメージですか?そうだなあ、父は忙しそうな人で朝から晩まで働いていて。兼業農家だったので、田んぼや畑をやりながら板金もしていたんですよ。まわりのみんなも、そんな感じの生活でしたね。今はもう、父はそっちに専念して、夏はピーマン、ナス、きゅうり、秋は山芋だったりゴボウだったりを作って悠々自適に暮らしています」
筑後さんの幼い頃を尋ねたところ、忙しい家業の様子が伝わってきました。家の手伝いをするのは当たり前で中学生の時にはすでに屋根の上に、そして高校生になってからは鉄骨の上で作業をしていたそうで、楽しそうに当時を振り返ります。
「現場歴は長いんですよ。中高生にそんなことやらせるなんて、今じゃ絶対ダメですよね。現場監督が『おお!手伝いにきて!』なんておおっぴらに言うおおらかな時代でしたし、父にとっては使い勝手の良い戦力だったんじゃないかな。でも高校生の時はバスケ部が忙しくて、本格的に手伝うようになったのは部活動も終わってからです」
板金業のやりがいは、形になるものを作れること。自分が手掛けた建物の前を通ると、ぐるりとまわりを歩き工事箇所を確認しているそうです。そして驚いたことに筑後さんは高所恐怖症で、初めは先輩職人から「腰引けてんなあ!それじゃ上がってこれねえぞ!」と激を飛ばされながら仕事をしたといいます。
「高いところは今でも怖いです。怖い怖いと言っているうちはまだ大丈夫で、平気になったらそれはそれで危ないとスタッフにも伝えています。でも私は工場での仕事より現場が好きですね。手掛けた仕事を自分の目で見られるのが板金の1番の面白味かなと思います。建物そのものが自分の思い出にもなっているんですよ」
今後は共に働くスタッフのためにも会社としての体制を整えていきたいとのこと。若い人が安心して働ける場所になるよう、「建設業の働き方」にもしっかり向き合っていくそう。社内で職人育成に力を入れていく構想もあり、仕事に真面目に取り組む意志があれば経験者、未経験者を問わずに一緒に働きたいと、とても意欲的に話していました。
詳しく見る
閉じる
WORK
過不足ない施工提案のために、お客さまの要望の本質を丁寧なヒアリングで探っていく
岩手県花巻市湯本の筑後板金は金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)や金属系外壁の板金工事を専門に施工します。現地調査を丁寧に行い、お客さまへのヒアリングを重視した施工の提案を行う、頼もしい工事店です。
筑後さんは打ち合わせの際に、お客さまのご要望をしっかりヒアリング。「屋根を取り換えてほしい」という基本的なオーダーに対し、屋根材やデザインの希望、現在の不具合等を明確にしてから見積書を作成します。
「単なる見た目の経年劣化なのか、それとも雨漏り修理のような具体的な工事が必要なのか、お客さまのニーズを把握した上で見積りする箇所を決めています。なので、見積書はそうたくさんにはならないですね。個人のお客さまであれば、現地調査も同時に行うので屋根の状態に合わせて2パターンくらいを提出します」
筑後板金では新築工事、リフォーム工事のどちらでも可能です。実際に手掛けるのは金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)の経年劣化による葺き替えが多く、最近の事例では築40年ほどの瓦棒葺き(※1)の屋根を葺き替えた案件が挙がりました。
「金属屋根は手入れにより耐久性が変わります。タイミング良く塗装でメンテナンスをしていれば40年位もつものもありますね。先日施工した屋根は瓦棒葺きでした。瓦棒葺きは見た目が縦じまのように見える葺き方なんですが、その合わせ目が筋になっていて、その部分に雪が固まります。屋根から雪を落としたくない方には向いている葺き方なんですが、今回はかなり敷地も広いお宅だったので逆に雪を下に落としたいという希望でした。そのため横葺きを提案しました。横葺きは筋が横向きに入っているので、屋根全体が平面な状態で雪が滑り落ちやすいんですが、屋根の勾配が必要です。横葺きにするには少し勾配が緩く、ギリギリいけるかなという感じだったため、下葺き材を2重にして、万が一金属屋根で漏水した場合でも、下葺き材で水を受け止めて階下へ行くのを回避できるように施工したんです」
また雨漏り修理は板金職人の腕の見せどころです。最近、筑後さんは寄棟(※2)屋根の斜め方向に傾斜している下り棟からの雨漏りが多いと感じているそう。雨漏り修理の連絡を受けた場合、まずは現地調査を行い雨漏りの箇所と原因を探します。
「まずはお客さまにどこから漏水しているかを聞き、目視点検で見当をつけてからその場所を開けます。寄棟の雨漏りの場合、下り棟が原因になっていることが多くて、築30年ほどになると塗膜が弱くなっていて毛細管現象(※3)が起き始めるんですよ。新しく下り棟をつけると大抵解決しますね」
岩手県花巻市の屋根工事の特性を尋ねました。花巻市は降雪の多い地域で、住宅の屋根は大半が折半屋根です。屋根や雨樋の雪害も多く、特に雨樋は雪や雪解け水の影響を受けやすいため、雪のシーズン中の相談が数多く寄せられます。
「雪が積もるだけなら良いんですが、雪が解けて水に、そして気温が低いためにその水がまた凍って屋根や雨樋に被害をもたらします。雨樋に氷が溜まると破損に繋がるし、屋根は軒が大き目に出ているデザインだと雪や氷の重みで折れてしまうんですよ。雨樋の破損は、修理で済むか全交換になるかは曲がり具合によりますね。曲がった雨樋を人の力で曲げて直すと金属に再び負荷をかけるので、状態によってはさらに壊れてしまうため慎重に判断します。そしてこれは屋根の状態にもよるんですが、私は雪止め金具をお勧めしていません。落ちていかない雪が金具に干渉して雪害の原因になりやすいので、敷地内にスペースがあれば雪は自然に落とした方がいいですね。雪害は火災保険が使える場合があり、手続きのための書類の用意等、その相談にも乗っています」
※1 瓦棒葺き・・・数十年前に主流であった縦葺きの一種であり、縦に長い木材の上に板金をかぶせた屋根。瓦とあるが、瓦は使用しない
※2 寄棟・・・屋根面が4方向に傾斜する屋根形式
※3 毛細管現象・・・細い空間の中を液体が上昇する物理現象。この現象により、施工によっては建物の内側へ水が入り込んでしまう
詳しく見る
閉じる
MESSAGE
多彩な実績は折り紙付き。戸建てから商業施設まで多様なオーダーに確実に対応
筑後板金のアフターフォローは、板金組合または自社発行の保証書があります。発行は完工時ですが、保証は施工内容により違いがあるため打ち合わせ時にご確認くださいとのことです。
「施工後は、保証書発行の他、万が一の不具合には迅速に対応策を取ります。完工後の『ここがちょっと気になる』なんていう小さなこと、工事後の『やっぱり雨樋も工事したい』、そんな追加の工事もお気軽にご相談くだされば嬉しいです」
最後に「やねいろは」をご覧になっている、雨漏りや金属屋根の劣化でお困りのお客さま、そして屋根リフォームや屋根修理を検討しているお客さまへメッセージです。
「筑後板金の強みは木造の建物から鉄骨工事まで、色んなケースの実績があることですね。お客さまのニーズに合わせた施工ができるため、『この仕事はできません』という回答はしたことがありません。戸建てから商業施設、工場、何でも相談していただけたらと思います。屋根修理や屋根リフォームをお考えでしたら、お問い合わせお待ちしております」
板金工事へのこだわり、施工の説明、そして身の上話、そのどれにも職人歴30年の厚みがあり、頼りがいを感じるものでした。筑後さんの懸念は若手育成。建設業の人手不足は慢性的なものですが、筑後板金もご多分には漏れず、今後の働き手確保の対策を真剣に練っています。老舗板金工事店の持つ貴重な技術が後世に引き継がれるよう、応援していかなければと感じた取材でした。
(2024年1月取材)
詳しく見る
閉じる
・当社及び記事作成者は、当サイトに掲載されている記事や情報の内容に関しては十分な注意を払っておりますが、それらについての正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。
・当サイトに記載された情報のご利用については、ユーザー自身の責任において行われるものとし、ユーザーが当サイトから入手した情報に基づいて直接的または間接的に被ったいかなる損害について、当社および記事作成者は一切の責任を負いません。
取材後記
筑後板金
何よりもまずはお客さまニーズ
「ニーズがあれば犬小屋の屋根葺きもしますよ」と楽しそうに話していた筑後さん。仕事へのこの心意気は、共に働くスタッフにも向けられていると感じました。若手職人を育てたいという想いが強く、未経験者にもその人に合った指導をしていきたいと考えているのです。その想いは「ニーズに合わせる」という仕事への姿勢そのもの。「やる気があれば髪の色なんて気にしない。独立を考えているならぜひ応援したい」と、若者を大らかな気持ちで迎える優しさが伝わってきました。
大会出場者は板金オタク?!
筑後さんは技能大会の指導員を務めていて、2023年優勝者の指導も担ったそう。この役職は前任者が「現代の名工」に選出されるほどの職人さんで、筑後さんのプレッシャーはものすごく大きかったそうです。「技能大会は板金オタクじゃないとできませんよ」と笑いつつ、自身はオタクになりきれないミーハータイプと自己分析。のめり込まないけど板金が大好きというミーハースタンスは、指導者として最適なのではないかと思います。熱意を持ちつつ冷静な目で指導、若者とそんな師弟関係を築く様子が目に浮かぶようでした。
・当社及び記事作成者は、当サイトに掲載されている記事や情報の内容に関しては十分な注意を払っておりますが、それらについての正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。
・当サイトに記載された情報のご利用については、ユーザー自身の責任において行われるものとし、ユーザーが当サイトから入手した情報に基づいて直接的または間接的に被ったいかなる損害について、当社および記事作成者は一切の責任を負いません。
工事店プロフィール(筑後板金)
一番の強み |
創業から40年、技術の幅が広く地域の事を知り尽くした2代目がお客さまのご要望に沿った提案を行うところ |
会社名 |
筑後板金 |
対応工事 |
|
従業員数 |
社員:5名 |
保有資格者 |
一級建築板金技能士:1名
二級建築板金技能士:1名
高所作業車運転者:3名
職長安全衛生責任者:4名
玉掛作業者:4名
ものづくりマイスター(建築板金):1名
職業訓練指導員:1名 |
特徴 |
リフォーム業
金属屋根工事業
その他屋根工事業
雨樋工事業 |
対応エリア |
東北地方
|
アフターフォロー体制 |
AIG損害保険株式会社の第三者賠償責任保険に加入済です。
ご希望に応じて保証書を発行します。
またご連絡頂きましたら、迅速に対応させて頂きます。 |
やねいろはケア |
未対応 |
代表者 |
筑後 泰夫 |
代表者経歴 |
筑後板金 代表
花巻商工会議所 所属
1991年3月:花巻市立湯本中学校 卒業
1991年4月:岩手県盛岡南高等学校 入学
1994年3月:岩手県盛岡南高等学校 卒業
1995年4月:筑後板金 入社
2021年1月:筑後板金 代表 就任 |
所在地 |
〒025-0304
岩手県花巻市湯本12-162
大きな地図で見る
|
営業時間 |
毎週月~土曜日、祝日 8:00~17:30 |
定休日 |
日曜日、年末年始休業、大型連休(ゴールデンウィーク)、夏季休業(お盆休み) |
備考 |
2003年6月:全国板金競技大会 技能競技 6位 |
外壁工事の依頼も可能です。筑後板金の「かべいろは」掲載記事はこちら