常に屋根技術は進化させる。でも忘れてはいけない「人情」は守り抜く

有限会社馬場瓦工業

和歌山県 和歌山市

和歌山県屋根工事業協会

有限会社馬場瓦工業

和歌山県和歌山市馬場の有限会社馬場瓦工業は、新築屋根工事、屋根リフォームが専門の屋根工事店です。その他、雨樋工事や塗装工事など窓口となり受注可能な工事も多種多様。また、10年ほど前から廃瓦・古瓦のリサイクル製品「紀州テコラ」の製造にも力を入れています。

工事店の想い工事店の想い

PERSONテニス漬けで苦しかった学生時代。そのきつい経験は、今も仕事で活かされている

和歌山県和歌山市馬場の有限会社馬場瓦工業(以下、馬場瓦工業)は、1924年創業の瓦屋根・金属屋根の新築・修理・リフォーム工事を行う屋根工事店です。創業当時は、いぶし瓦の製造・販売を行い、鬼師も在籍していました。2005年に屋根瓦の製造販売は終了し、近年は太陽光発電システムの販売・施工などの工事にも取り組んでいます。その他、廃瓦と古瓦のリサイクル事業、瓦チップ「紀州テコラ」の製造も手掛け、会社全体で廃材を活かす努力をしています。代表取締役の馬場利幸さん(以下、馬場さん)は、馬場瓦工業が全国に先駆けて瓦チップ製造のための破砕機を導入した縁で、全国テコラ会の会長(2018年7月現在)も務めています。

「これが『たま電車』(※1)。駅舎の花壇に紀州テコラが敷いてあってね。花壇の手入れが楽になればと思って、提供させていただきました。電車からきれいに見えますよ」と、のんびりとした口調で瓦のリサイクル製品「紀州テコラ」について話す馬場さん。1つ1つのエピソードに対して言葉を丁寧に選びながら説明する様子は、話を聞いているこちらも和んでくるほど。そんな馬場さんに、幼少期からこれまでのお話を伺いました。

「小さい頃は、ブルドーザーなどの重機が好きでした。大人になったら、ブルの運転手になる!と毎日のように言っていたらしいです。お爺ちゃん子だったので、祖父の仕事に憧れていたのかもしれんね」と、馬場さんは馬場瓦工業の創業者である祖父との思い出を交えながら、幼い頃の様子を穏やかに話します。しかしスポーツの話になると、それまでと違う一面が垣間見えました。
「小学4年から野球を始めて、5年の時に市の大会で優勝しました。コーチが厳しい人でね。きつい練習で泣きそうでしたけど、辞めようとは思わなかった。でも野球に熱中していたわりに、中学からは友人に誘われてソフトテニスを始めました。初めは、テニスなんて簡単と馬鹿にしてたんやけど、やってみると難しいのなんのって。初めての試合で相手に完全試合をやられてノーポイント。くやしくて、うまくなりたくて必死で練習しましたね。戦歴は市の大会でベスト8が最高かな」と、少年時代は負けず嫌いだった様子です。
高校入学直後は、部活に所属せずのんびりと過ごしていましたが、わずか1カ月ほどでその生活がつまらなくなったそう。

「高校生なんて体力を持て余していますからね。まっすぐ帰宅しても退屈で、再びソフトテニス部に入りました。レギュラー争いでくやしい出来事もあったなあ。でも、部活ってのは上下関係を学んだり、理不尽な思いを味わったり、社会に出る前のちょうど良い試練ですよね」

レギュラーを取れなかった馬場さんは、次第にソフトテニス部から足が遠のきましたが、その矢先に硬式テニス部が新設。気分一新をするために、思い切って移籍をしたそうです。
「これだ!と思って硬式テニス部に移りました。ただ、ソフトテニスと打ち方が違うのです。なんとかネットを超える球が打てても、試合で使えるショットは打てない。こんなはずじゃなかった!と思って、テニス雑誌を読んで、家ではイメージトレーニングと素振りを繰り返しました」

やがて、馬場さんの地道な努力が実り、大会でも満足のいく結果が残せるようになりました。戦歴は自信となり、「頑張ればもっと強くなれるかも」と、ますます硬式テニスにのめり込んでいったそうです。3年生のインターハイ予選ではそれまで1度も勝てなかった相手を負かし、インターハイ出場権を獲得。それをきっかけに、スポーツ推薦で大学が決まり、馬場さんの更なるテニス漬け生活が始まります。

「私のテニス人生で一番きつかったのが大学ですね。普段の練習から寮の食材の買い物、炊事、掃除洗濯、さらに先輩との上下関係、説教。何もかもが苦しかった。『誰か寮を燃やしてくれないか』という暗い思いが頭をよぎるほどでした」
それでも、その苛酷な大学生活のおかげで根性は身についたと馬場さんは言います。
「若い頃、取引先にきつく叱られたことがあってねえ。立たされっぱなしでずっと罵声を浴びて。それでも大学時代のそれよりは軽かった。それに耐えられたもの、大学での経験があってこそなんでしょうね」

他の職業に就きたい気持ちはありませんでしたか?と尋ねたところ、馬場さんはこう言いました。
「祖父から『将来、お前は瓦屋になるんだ』と言われ続けたので、卒業後はすんなり実家に戻りました。ただ、大学3年生の頃に父から『先を考えたら、瓦屋を継ぐのが良いとは思わない。消防士や役所、公務員を目指してみるのはどうや。きちんと考えておけ』と言われたのです。今さら何を言うてんねん!と思いましたね。でも、それは自分で選択しろという父からのメッセージだったんやろな。無理やり継がされたら、心のどこかに言い訳が残るでしょう。誰かのせいにして生きる人生なんて、そんな悲しいもんはないやないですか」

最後に、これからの馬場瓦工業の会社としての展望を伺いました。
「1つは後継者問題やね。私の子どもが馬場瓦工業を継ぐにしろ継がないにしろ、4代目はやり方を変えていかないといけない。父に言われたのは、『従業員を大切に』という言葉です。社員が4人いたら、そこに4人それぞれの家族がいるということ。経営者の仕事は従業員の家族を守ることやって。そうするためには、これからは違う角度から建設業界を見極める感覚が必要ですね。将来、全国に空き家が増えていくでしょう。屋根修理・リフォームだけではなく、空き家になる建物を生かす方法も考えていかないといけない。もし息子が馬場瓦工業を継いでくれるのなら、既存のやり方ではなく、若い世代のやり方で盛り立ててほしいですね」

※1 たま電車…和歌山電鉄を走る猫のイラストが入った車両

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WORK老舗として守るもの、そして次世代に生み出すもの。2つの役割を大いに楽しみたい

有限会社馬場瓦工業は、1924年創業の瓦屋根・金属屋根の修理、リフォーム工事を行う瓦屋根工事店です。近年は瓦のリサイクル事業にも取り組んでおり、廃瓦・古瓦を破砕して製造する「紀州チップ」の普及にも力を入れています。

馬場瓦工業の強みは、創業94年の歴史。世代を超えてひいきにしてくれている地元のお客さまは何よりの宝です。
「馬場さんに親が世話になっていたからと言って、そのお子さんやお孫さんから連絡をもらうことがあります。『馴染みの屋根工事・リフォーム店』として見てもらえているのかと思うと、とても嬉しいです」
また、馬場さんは、お世話になっているお客さまに年賀状で挨拶をしています。数年前、お客さまから「訪問の屋根工事業者にこんなことを言われたんだけど、馬場さんで見てもらえる?」という電話をもらったそうです。
「私たちの年賀状を、お守りみたいに保管してくれている年配の方がいらっしゃいます。屋根リフォーム・屋根修理なら馬場さんにと連絡していただけるなんて感激です。祖父と父から継いだものは、会社だけではないんやね」と、受け継いだものの大きさを、改めて実感している様子でした。
また、老舗であるがゆえに和歌山の住宅工事業界からの信頼も厚く、「和歌山の屋根業界の中で、色々なことを1番に試しました。瓦のリサイクルや太陽光パネル設置ですね。馬場瓦工業が持つ情報は、全て他の屋根リフォーム・屋根修理店にも渡します。こんな新製品がある、こんな工法があると情報交換して、皆で力を合わせて和歌山の屋根業界を活気づけていきたいです」

また、馬場さんが仕事をする上で気をつけているのは、「お客さまを不安にさせないこと」です。そのために挨拶を丁寧にする、休憩時間は長くなり過ぎないようにと心がけています。また、職人には、休憩時間にスマホばかりを眺めるのではなく、お客さまとのコミュニケーションを大切にと伝えているそうです。
実際に、屋根工事をする上で大切にしているのは、雨漏りをしやすい屋根の急所などネガティブな要因を確実に伝えること。
「屋根には雨漏りをしやすい場所があります。そこが雨漏りしている際、葺(ふ)き替えや全面リフォームを選択しない場合は、応急処置の工事になりがちです。そうすると、数ヵ月後、数年後にまた同様の水漏れが起こるかもしれない。その時は正直に状況を伝えます。丁寧に説明をして話をすると、お客さまの要望が見えてくる。そうなると、後にクレームになるようなミスやトラブルが未然に防げます」
さらに、馬場さんは現場の異業種の職人と積極的に交流して、情報交換をするべきだとも考えています。
「仕事人同士のコミュニケーションもとても大切やないでしょうか。新しい情報を仕入れたら、すぐに行動に移す。それによって、技術の向上や作業効率が上がるかもしれないですよね。会社として、職人として、屋根業界で生き残るためには、常に新しいものに向かって動く姿勢が大切です。子どもでも大人でも新しいものってわくわくします。未来を心配するより、わくわくして仕事をしていきたいやないですか。そのための情報交換じゃないやろかと思います」

次に実際に屋根リフォーム・屋根修理に至った雨漏り対処事例についてお伺いしました。
「経年劣化により、瓦や隅棟(※2)がつぶれて雨漏りしている事例が多いです。あとは、谷板の銅板に穴が空いて雨漏りしているのも多い。全面的に葺き替えれば話は早いですが、費用もかかるしお客さまの都合もあります。そんな時は、根本的な修理と部分修理を並べて説明し、納得していただいた上で作業にあたります」
また、原因が突き止めにくい雨漏りとして、隅棟の漆喰の量によるものをあげてくれました。
「のし瓦(※3)の下の漆喰が出すぎている状態ですね。そのお宅は、屋根リフォームで漆喰をし直した後に雨漏りが始まったのです。点検をしたところ、漆喰の盛りの厚みが原因やとわかりました。左官屋さんと話をして、漆喰の仕上げを奥にしてもらうと雨漏りは止まりました。左官屋さんは屋根瓦の水の流れまでは把握していないので、現場での情報の擦り合わせが必要ですね。ただ、業者さんとの信頼関係がないとこんな話もできません。休憩時の工事業者さんとのコミュニケーションが、このような場合にも生きてきます」

最後に、和歌山県和歌山市馬場付近の屋根修理の地域の特性についてです。
「昔から、紀の川すじ(紀の川沿い)は和歌山の中でも屋根に凝って大事にする地域です。大昔は『みかん御殿』と呼ばれた立派なお屋敷が建ち並んでなあ。屋根を立派にするのが家の繁栄と成功の象徴だったんやな。屋根屋さんが仕事を終えて屋根から降りたら、その後は足跡を付けないために電気屋も誰も屋根に上がらせない風習がありました。今もたまに、化粧棟や棟のしを何段も積んで、豪華な瓦屋根にと希望するお客さまがいますよ」と、屋根に対する紀州人のこだわりは、現在も残っているようです。
その他には、和歌山市の辺りの強風。その昔、土葺き(※4)で施工していた頃は、『風がきついから、土をぎょうさんのせてくれよ』と言われることも多かったそうです。
「ただ、いまは乾式工法(※5)だから地域差は出ないんちゃうかな。ごくまれに土葺きしてほしいとこだわるお客さんがいますが、それに対しては耐久性に責任が持てないので、土葺きと釘でやるか、ガイドライン工法に沿った屋根工事でと提案します。お客さまの要望だからといって土葺きのみでやるのは、災害に対するリスクが大きいので避けています」

※2 隅棟…傾斜のある棟
※3 のし瓦…壁とのつなぎ目や冠瓦(屋根の登頂部分)とのつなぎ目に使う平板の瓦
※4 土葺き…土や粘土を用いて屋根瓦を固定する工法
※5 乾式工法…水を必要とするコンクリートや漆喰を用いずに建築物を組み立てる方法

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MESSAGE安心して暮らせる屋根の下。お客さまの不安をとりのぞくお手伝いをしていきたい

馬場瓦工業のアフターサービスは、お客さまから連絡があればいつでも駆けつける体制をとっていること。
「私たちは、きっちりとした屋根リフォーム・修理工事をしていますので、何度もお客さまのお宅を巡回する必要はないと考えています。何かあったらお電話くださいと言って仕事を終えていますが、ここ何年かは、ほんの数か月で連絡をいただく事態にはなっていないですね。ただ、雨漏り修理に関しては、水が止まっているかの確認に伺います。あとは、屋根に何かあった時のお守りやと思って、皆さんに年賀状を送付させていただいています」

最後に、「やねいろは」をご覧になっている、屋根の不具合でお困りのお客さま、そして屋根リフォームなどを検討中の方へメッセージです。
「うちから独立した職人が言っていたのですが、世の中IT化しているからこそ、義理や人情に厚くなったほうがいいですねって。本当にその通りだと思っています。私たちは目先の損得よりも、人付き合いを大切にしながらここ和歌山市で仕事をしてきました。『馬場の瓦屋』の名前に、信用と責任を背負っています。年々、瓦葺(ふ)きの仕事が減っていますが、その名に恥じないように誠実に働いていきたい。私たちの仕事の最終目的は『屋根の下でお客さまが安心して暮らすこと』です。私たちに、心配事やストレスのない住まいづくりのお手伝いをさせてください。受け継いだ技術を磨きながら、新しく便利な工法や材料も取り入れて、お客さまのお住まいに最適な屋根リフォーム・屋根修理をお約束します」

仕事には先見の明をもち、でもお客さまや業者さんとの繋がりは昔風に義に厚く。これが創業94年の馬場瓦工業のやり方です。今は、老舗の看板を守る使命と、次世代の仕事のあり方を同時に考える難しい時期に差し掛かっています。今後、会社として馬場瓦工業は、どんな挑戦をしていくのでしょうか。
「わくわくしながら仕事をしたい」。馬場さんのこの言葉が、どうか現実のものとなりますようにと願わずにはいられない取材でした。

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屋根工事店プロフィール屋根工事店プロフィール(有限会社馬場瓦工業)

一番の強み 目先の損得よりも、人とのお付き合い(義理や人情)を大切に、屋根工事を行うところ
会社名 有限会社馬場瓦工業
対応工事
  • 屋根工事
  • 樋工事
  • 太陽光工事
  • 塗装工事
  • 瓦屋根
  • 金属屋根
  • 陸屋根
  • その他
  • 外壁塗装
  • 屋根塗装
従業員数 社員:3名 専属外注:3名
建設業許可 屋根工事業 和歌山県知事許可(般-29)第5597号(屋根工事業・解体工事業・土木工事業・石工事業・鋼構造物工事業・しゅんせつ工事業・とび土木工事業・舗装工事業・水道施設工事業)
保有資格者 瓦屋根診断士:1名
瓦屋根工事技士:1名
一級かわらぶき技能士:1名
かわらぶき技術指導員:1名
ルーガ施工管理者:1名
特徴 瓦屋根診断士:1名
瓦屋根工事技士:1名
一級かわらぶき技能士:1名
かわらぶき技術指導員:1名
ルーガ施工管理者:1名
対応エリア

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  • 堺・岸和田
アフターフォロー体制 20年ほど前から、年賀状をお送りしています。何かあればこちらを見て思い出して頂けたらと思います。
代表者 馬場 利幸
代表者経歴 有限会社馬場瓦工業 代表取締役
1980年3月:和歌山県立東中学校 卒業
1980年4月:和歌山県立和歌山東高等学校 入学
1983年3月:和歌山県立和歌山東高等学校 卒業
1983年4月:日本大学法学部 入学
1987年3月:日本大学法学部 卒業
1987年5月:馬場瓦製造所 入社
1999年1月:有限会社馬場瓦工業に社名変更 及び 代表取締役就任
所在地 〒640-0353
和歌山県和歌山市馬場31 大きな地図で見る
営業時間 毎週月~土曜日 8:00~17:00
定休日 日曜日、夏季休業(お盆休み)、年末年始休業、大型連休(ゴールデンウィーク)

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