株式会社Repaint（以下、Repaint）は鳥取県鳥取市賀露町に拠点を構える塗装店です。屋根はもちろん、外壁や雨樋（あまどい）の外装塗装、リフォームに伴う内装塗装を行います。一般住宅からマンション・アパートまで、様々な建物に対応可能です。

Repaint代表取締役の石田亮さん（以下、石田さん）は、中学校卒業後から塗装の世界へ入った生粋の塗装職人。母子家庭で育ち姉が私立高校へ通っていたため、稼ぎ手になる決心をしたそうです。
「就職先を探し始めた時に母の知人から紹介されたのが塗装会社でした。中学生だったので、『この仕事がやりたい』という明確な意志もなくて、誘われるままにですね。もともと手作業、塗る作業は好きだったので楽しいかなと思い決めました」

しかし意気揚々と入社したものの、１年近く塗る作業をやらせてもらえませんでした。初めは養生作業など基礎仕事ばかりで、先輩職人の塗る姿をじっと眺めていたそうです。
「あまりにも刷毛に触らせてもらえないので、『いつやめようか』と考えていた時期もありました。でも『知識もないのに塗るな』という親方の方針だったんですよね。養生作業をひたすらやりながら、早く塗らせてくれとぶつぶつ文句を言っていましたよ」

１年間下積みを続けた石田さん。しかし、塗る作業をやらせてもらったきっかけには拍子抜けしたそうです。
「ある日、親方の体の調子が優れなかったんです。『お前、塗っとけ』と軽く言われて、言われるがまま塗装作業に入りました。こんなに待ったのに、もう少し言い方はないのかって内心笑いました。親方なりのOKサインだったんでしょうけどね。先輩に丁寧に教えてもらって塗りはじめました」

その塗装会社では約１０年勤務しました。現場で中核を担う年齢になってから感じたのは「教えることの難しさ」だと石田さんは言います。
「私が先輩に教わった通りに伝えても、人ぞれぞれで話の受け取り方が違うんですよね。相手の人間性を理解してから教えなければいけないんだと気が付いて、これは人間関係全般に通じるなと……。この時の経験は、取引先と話す時、現場で他の会社の人と話す時、様々な場面や立場で役に立っています」

石田さんはこうして職人として経験を積み、２０１６年に親方に勧められてRepaintを独立創業。独立当初は「経営」に対する怖さがあったものの、親方から仕事を回してもらったり、まわりの職人たちに助けられたりしながら、仕事を続けてきました。
「独立当初、苦労したのは資金繰りでした。手持ちの資金が潤沢とは到底言えない額だったので、材料の建て替え払いが重なるときつかったですね。それでもどうにか働いているうちに半年経った頃からうまくまわるようになったかな」

今後は、今の仕事の規模を保ちながらも、もう少し従業員を増やしていきたいとのこと。Repaintの仕事の範囲は鳥取県内、賀露町付近での仕事を基盤に県内全域のお客さまと関わりたいと石田さんは話します。
「徐々に職人さんも増やしつつ仕事量も増やしていけたらと思っています。一方で自分の目の届く範囲を鑑（かんが）みたら、あまり増やしすぎない形が理想かなと思っています。やはり自分の目が届かない範囲になるとお客様にもご迷惑をおかけしてしまうかもしれないので」

鳥取県鳥取市賀露町のRepaintは、屋根塗装・外壁塗装をメインに行う塗装店。塗装工事だけではなく、屋根の雨漏り工事や簡易的な修理も可能です。

Repaintが屋根塗装の際に注力するのは、本塗装前の下地作り。それは石田さん自身が最も得意とする分野であり、どんな現場でも下地処理には慎重に取り掛かります。
「会社員時代に下地補修・処理専門の会社に出向したんです。そこで下地に関しては、かなり勉強させてもらいました。金属系サイディングの状態が、塗装にどう影響するかなども細かく説明できるので、これはRepaintの強みですね」

また、見積もりの際にはタブレットにてカラーシミュレーションを行い、お客さまの持つイメージを素早く再現するようにしています。
「以前、色合わせは材料屋さんに塗布板で作ってもらっていたんです。でも、自分の手元でやった方が融通がきくし、どうにかしたいなと探していたところ今の方法にたどり着きました。見本を作るから待ってくださいと言うより、その場スピーディに色味を提示できるので、お客さまの納得感も生まれやすいですね」

雨漏り修理については、屋根のトップライト（天窓）の周辺からの水漏れ対応が挙がりました。
「トップライトの水切り（※１）付近で雨漏りを起こしていたので、周辺の屋根材をはがし水切りを交換して元に戻しました。そのお客さまからは『強風の日に雨漏りがする』と相談があったんです。ちょうど雨の日だったのですぐに検査をしに行き、原因解明は早かったですね。雨漏りの原因を探るのは難しいので、晴れの日の検査は信頼している建築家に屋根の構造から見てもらう場合もあります」

鳥取県鳥取市は海も山もある地形です。冬には積雪があり、コロニアル屋根（※２）の塗装部分の保護層の劣化がとても早くなるそう。また、海沿いでは潮風への錆対策は必須です。Repaintでは、そういった気候に合わせた施工で、強い屋根に仕上げています。

「屋根に積もった雪が溶けて、残った水分がまた凍る。これを繰り返すと積もった雪が凍った部分を引っかけながら下に落ちていくので、屋根材の表面に傷が入ってしまうんですね。そんな状態になった屋根は、洗浄後に下地をしっかり整えてから塗装しないと、強い屋根になりません。潮風に対しては、グレードの高い耐候性に期待ができる塗料を勧めています。少し値段は張りますが、メンテナンスを年単位で考えると決して高い買い物ではありません。ただご予算の都合でそれが難しい場合は、リーズナブルな材料で回数を多くしましょうと提案しています。塗り替えは、グレードの高い塗料で２０年、それ以外だとだいたい８年くらいが目安ですね」

※１　水切り・・・水が一部分に溜まらないようにするための金属板
※２　コロニアル屋根・・・セメントを固めて塗装した板状の屋根材を用いた屋根

Repaintのアフターフォローは、各種保証書の発行と定期点検。その他、完工後に気になる不具合を発見したらいつでもご連絡をと柔軟な対応です。

「保証は施工内容や使用材料によって違うので、都度ご確認ください。点検は半年、１年、３年、５年後のタイミングで、基本的にはお客さま立ち合いの元で行っています。お客さまと都合がつかない場合は、デジカメで撮影をして写真を元に報告をします」

最後に「やねいろは」をご覧になっている、屋根塗装や外壁塗装の劣化でお困りのお客さま、そして屋根リフォーム・屋根修理を検討しているお客さまへメッセージです。

「Repaintの施工は適正価格で行っています。特別に高く価格設定しているわけではなくて、屋根に適した塗料を用いて、丁寧な施工をした上での価格なのです。なので良質な分、結果的にお客様の満足度は高いと思います。相見積もりになった場合は、他社との価格の違いの理由をひとつずつお答えしています。予算の相談や、お客さまの疑問や不安点には全て回答するので、気軽に質問をしてくださったら嬉しいです。屋根の不具合について、お問い合わせをお待ちしております」


裸一貫でRepaintを立ち上げ、信頼と実績を築いてきた石田さん。お話ぶりから仕事への熱意を痛いほど感じましたが、意外にも事業の規模を広げることには興味がないようです。もしかしたらそれは、石田さんの「職人としての気概」が関係しているのかもしれません。お客さまに良い仕事を安定して届けたい……そんな想いをしかと受け止めた取材になりました。

（２０２０年１２月取材）
（２０２１年２月加筆修正）