GROWTEQ（グロウテック）は、大阪府大東市北条に拠点を構える塗装店です。主な事業は屋根リフォーム・屋根修理に伴う屋根塗装、外壁などの外装塗装・防水工事で、自社施工の強みを生かし目の行き届いた丁寧な施工を心掛けています。

「小学生から高校まで野球をしていました。最後は地区予選の決勝で甲子園出場校に負けて終わったなあ」
ピッチャーとして、明けても暮れても野球に打ち込んでいた青春時代を振り返るのは、ここ大阪府でGROWTEQを切り盛りする代表の前田英さん（以下、前田さん）。

高校卒業後すぐに塗装の世界に入り、職人歴は１６年を迎えます。しかし、生まれは大阪府ですが、職人修行の際は、青森へ東京へと様々な土地での暮らしを経験しました。

「独立して７年ですが、職人としての経験はまだまだですよ。塗装業界は１０代半ばから働く人が多いので、職人歴２０年３０年の人がざらにいる世界です」
このようにとても謙虚な様子の前田さんに、幼少期からこれまでの歩みを伺いました。

初めに話題に飛び出したのは子どもの頃からの野球に関するエピソード。小学生から高校卒業まで野球漬けの毎日だったそうです。高校卒業時には大学野球部からも誘いが来ていましたが、肩の負傷で野球を断念したとのこと。
「ザ・野球少年でした。高校も野球をやるために入って、明けても暮れても野球の毎日。山ん中にある学校で、ずっと寮生活。先輩も厳しかったです。その分、野球に専念できましたけどね。高校最後の大会で甲子園出場校に敗れて、その時点で肩のケガもあったので、その先は野球を諦めて運送会社に就職しました。野球ばかりしていたので特にやりたいことも浮かばなかったんですよね。紹介された会社にそのまま入った感じでした」

社会人になるぞ！と決意して働き始めた前田さんですが、入った運送会社は朝４時からの勤務で休日が少ない労働環境だったそうです。１０代で体力はあったものの、働き詰めでメリハリのない生活が辛くなり退職。次はどんな仕事に就こうかと探していた最中に、知り合いに紹介されたのが青森の塗装会社でした。

「なんで青森？って感じでしたが、ゆったりした気質の人が多い土地柄で、塗装技術もじっくり教えてもらいました」

その後、塗装会社の社長に紹介され東京の塗装会社へ移り、青森とは１８０度違う都会の塗装店で腕を磨きました。
「やっぱり東京は仕事をするところだなあ、って印象でしたね。いずれは地元に帰ろうと思っていたので、そこである程度勉強させてもらってから、２００６年に大阪に帰りました。今度は紹介ではなく自分で次の塗装店を探して決めたんです。割と大きな塗装会社で、職人の人数が多かったのでものすごく勉強になりました」

そうして大阪で７年近く修行に励み、２０１３年にGROWTEQの前身となる前田建装を開業。しかし意気揚々と独立したものの、３年ほどは仕事がうまく回らなかったそうです。
「独立開業した理由は、自分の腕でもっと稼ぎたかったからです。腕に自信がついてくると、やはり稼ぎに欲が出てきますよね。でも独立して３年くらいは仕事にムラがありました。２ヶ月くらい営業しかしていない時期もあったかな」

独立当時の前田さんは、ベテランというほどのキャリアがあるわけでもなく、オーソドックスな技術しか持っていませんでした。若さとフットワークの軽さをアピールし「何でもやります！」と言って回りながら仕事を獲得してきたそうです。

「１０年の経験があるとはいえ、職人の世界ではペーペーでした。それでも何とかやってこられたのは若くて体力があったからでしょうね。今後はお客さまと直に打ち合わせができる元請けの仕事を増やしたいです。そして、今うちにいる職人たちに自立してもらって、彼らにどんどん大きな仕事を回していけるようになれたらいいですね」

大阪府大東市北条のGROWTEQ（グロウテック）は、屋根塗装・外壁塗装を手掛ける塗装店です。その他住宅の内外装工事、防水工事にも対応しています。

GROWTEQは１００％自社施工。受注した仕事は下請けに依頼せず、全ての現場で前田さんの目が光っています。また、作業が早いのもGROWTEQの強み。前田さんはいつもどう動けば工期が短くできるかを計算して動いているのです。
「一連の流れや作業員の担当を考えて、効率よく施工できるよう工程を考えます。私は休憩が短いので、その分作業を進められるってのもあるかな。工期が短くなれば、養生が早く外せますしね。でも早ければ良いかというとそうではありません。丁寧さも絶対で、チェックの時に私が納得いかない塗面があれば、必ずやり直しをします。妥協して納めることはしていません」

また、前田さんは、施工中のコミュニケーションを大切にしています。独立したばかりの頃は下請け仕事が大半で、お客さまから質問や追加塗装を相談されても「わかりません」と答える場面が多かったそう。そんな自分がイヤで、直請けの自社施工の仕事を増やしてきたのです。

最近、実際の屋根塗装の現場で遭遇したのは、塗装前の高圧洗浄に耐えられないほど劣化したカラーベスト（※１）の屋根。塗装作業は、本塗りの前の洗浄と下地づくりがキーポイントですが、その家は、洗浄の際にカラーベストの保護膜が剥がれてしまうほど劣化していました。
「私も初めての経験でした。カラーベストは劣化が進むと下地の白い部分があらわになって、下地剤のシーラーをぐんぐん吸い込んでしまうんです。そんな状態なので下地剤だけで３度塗りをして、しっかり塗面を作ってから本塗装に入りました。劣化がそれだけ進んでいると、屋根リフォームで全葺き替えをお勧めしたいところなんですが、お客さまのご都合で塗り替えになったんです」

大阪府大東市北条の辺りは住宅密集地が多く、施工時の塗料の飛散には細心の注意を払います。
「足場自体が隣家に届いてしまいそうな密集地もあります。そこまでいかなくても、平均的にお隣さんとの幅は狭いですね。足場のシートを二重に張ったり、ブルーシートを重ねたりして塗料の飛散防止に努めています」

GROWTEQのアフターサービスは、「施工後に不具合があればいつでも対応します」と臨機応変です。

最後に「やねいろは」をご覧になっている、屋根塗装の劣化でお困りのお客さま、そして屋根塗装や外壁塗装を検討しているお客さまへメッセージです。
「自社施工で作業が早い。これがGROWTEQの武器です。自社施工の何が良いかというと、その場でイレギュラーな施工にも対応できること。塗装を勧めるうちにお客さまの気が変わったり、私どもの方で『こうした方が良い結果になる』という箇所が見つかったりしたら、その場でぴったりな提案を差し上げられます。もし屋根の劣化でお困りでしたら、気軽に何でもご相談ください。そして施工となりましたら、現場で気になることは、いつでも話しかけてもらえたらと思います」

「私の経験なんて、まだまだです」と終始謙虚だった前田さん。しかし、若い頃に環境の変化に順応しながら粘り強く修行に励んだことは、明らかにGROWTEQの経営に役立っています。現場での対応力の高さはこれまでの経験のたまもの。その安定感に、お客さまはきっと安心するに違いありません。

（２０２０年８月取材）