1.かわらのしっくいが剥がれたときの修理の方法:はじめに
瓦屋根を見たら、瓦と瓦の間の何かが割れている..
それは瓦のしっくいと呼ばれる部分です。
これは屋根の中でも地上から見やすい部分なので、しっくいが割れていると、訪問販売業者が「お宅のしっくいが割れているから雨漏りになるよ。直した方が良い」と言われる絶好の機会になっています。
確かに直した方が良いことは良いですが、どう修理すればば良いかしっかりと理解して頂くことが大事と思い、しっくいについて説明します。
2.かわらのしっくいが剥がれたときの修理の方法:しっくい修理の種類
まず「しっくい」とは何でしょうか。
結論から言えば、「しっくい」とは、棟(屋根の頂点)とすぐ下の瓦の間にある隙間を埋める土のことを一般的に指すことが多いです。棟と瓦の間はどうしても隙間ができるため、瓦屋根では土を使ってその間を埋めることが一般的です。最近はその隙間を埋めるためのゴム状のシールのようなもの(乾式面戸と呼ばれています)を使うことも多いですが、まだ販売が開始されて10年弱の為、しっくいと乾式面戸のどちらが持ちが良いかは判断が難しいところです(乾式面戸のメーカーは公的な試験場で経年劣化の試験を行っていますが、日本は気候が多種多様なため、しばしば公的な試験場での試験結果と異なる状況が起こることがあります。)。
なお、金属屋根の場合は、棟と金属屋根の間にできる隙間をエプロン面戸と呼ばれる板金材などをはめ込むことで無くしています。
ではしっくいが無くなると、どうなってしまうのでしょうか?
答えは皆さまお分かりの通り、水が屋根の棟を通って家の中に入ってきてしまいます。家に直接落ちる水もあれば、外壁と内壁の間に落ちる水もあります。ですので、屋根裏に水がポタポタ落ちていなくても、しっくいが無くなると家の中に水が入ってしまっていることもあります。なので、しっくいがしっかりあることが重要なのです。
実際のしっくいの様子は以下のような感じです。
このように、しっくい(白色)が割れている状態は、しっくいが時間が経って劣化してしまい、土と瓦がくっついていない感じです。土がパラパラになっていると言えばつたわるでしょうか。
なお、しっくいが問題ない状態はこのような感じです。
これを見ると、白のしっくいが上の瓦(のし瓦)と下の瓦(桟瓦)の間にきっちりと納まっています。こういった状態が問題ない状態です。
では、しっくい修理の方法はどうするのでしょうか?
大きく分けると、①しっくいの表面部分のみを修理する方法、②しっくい全体(中の土を含めて)を修理する方法の二つがあります。
①しっくいの表面部分のみを修理する方法については、文字通り、しっくいの表面を新たにしっくいで塗るため、比較的安価で抑えることができます。一方で、しっくいの持ちはそこまでではありません。
なぜかというと、しっくいの表面がボロボロになっている状態というのはしっくいの中の土も一定程度劣化している状態になっているので、しっくいの表面だけを綺麗に補修しても、中の土の更なる経年劣化が原因で、いずれ表面のしっくいも剥がれてくる可能性が高くなるためです。
なお、しっくいの工事は瓦工事店が専門になります。専門工事店である瓦屋さんだと、しっくいの表面だけを塗る工事と言っても、既に劣化してボロボロになった部分はしっかりと剥がすので、その点で多少持ちが良い場合もあります。塗装でいう「ケレン」(元々塗ってある塗料を綺麗にして新しく塗る塗料と下地が馴染みやすくする作業)と似ていますね。
②しっくい全体(中の土を含めて)を修理する方法としては、まずしっくいを含む棟を全て壊し、その後に中にあった土も含めて全て撤去します。その後、棟を最初から積んでいきます。しっくい表面だけでなく、中の土も新しくなります。値段としては①よりも高くなりますが、その分だけ持ちが良くなります。
このように2つの方法がありますが、どちらを選ぶかは予算と修繕する家に今後どの程度住むかということで決まります。
また、中の土は、以前は高級な仕様として、山砂や石灰、ふのり、マニラすさを練り合わせて、現場練りのものが使われていましたが、今は葺土メーカーが工場で練って袋詰めしたものを使うことがほとんどになりました。
3.かわらのしっくいが剥がれたときの修理の方法:しっくいの修理に使われる材料
では、しっくいの修理に使われる材料はどういったものでしょうか。しっくいが使われる瓦屋根の一般的な断面図を見てみましょう。
引用:http://www.yane.or.jp/kawara/guide.shtml, 瓦屋根標準設計・施工ガイドライン|屋根工事と瓦のプロ集団【全日本瓦工事業連盟】, 全日本瓦工事業連盟(検索日:2020/9/19)
このように、下の瓦と棟瓦を接続するのが葺き土の役割です。
先ほども書いたように、現在は葺き土を現場で練ると、周辺の方への環境の配慮もある関係で、葺き土メーカーが出している工場練りのしっくいを使うことが多くなりました。
工場練りの葺き土メーカーである「馬場商店」さんには以下のような商品があります。
引用:http://www.baba-shouten.com/nanban/nanban.shtml, なんばん・シルガードなど漆喰材|製品紹介|軽い屋根、地震や台風に強い屋根を創る。屋根材の開発から製造販売:株式会社馬場商店, 株式会社馬場商店(検索日:2020/9/19)
材料によって、どういったものが配合されているかは違いますが、防水材が入っているものもあるので、そういった意味では、現場練りのしっくいよりも品質が安定しているので現場の職人の腕に依存しないという良さがあります。
実際に今はこういった工場練りのしっくいを使う瓦屋根工事店が多く、また20年以上は使われているロングセラー商品のため、迷ったら工場練りのしっくいを使うのが良いと思います。
また、通常のしっくいだと中の土の外側にしっくいを塗るという作業になり、しっくいの塗り残しがあると目立ってしまいますが、この製品は、既に土に黒または白の色がついているため、塗り残しということがなく、その点でも綺麗に仕上がるという利点があります。
なお、しっくいの色を白にするか黒にするかについては、施主さんの好みや地域毎の特性が大きく関係します。一方で一般的には、瓦の色が明るい色(明るいねずみ色、オレンジ系や白系などの素焼き調の色等)の場合は、しっくいの色も白色を使う場合が多く、逆に瓦の色が黒っぽい色(銀色、黒色、茶色等)の場合はしっくいの色は黒色を使う場合が多いと思います。とはいうものの、最終的には施主さんの好みが影響しますので、もしこだわりがあれば瓦工事店に相談してみるのも良いかもしれません。
4.かわらのしっくいが剥がれたときの修理の方法:まとめ
いかがでしたしょうか。
今回は瓦屋根の修理の中でもよく問い合わせのある「しっくい修理」について紹介しました。
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