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「屋根工事」について

2018.03.31屋根のイベント

日本一の屋根瓦職人を決める大会!全瓦連技能グランプリ2018を観戦レポート!(後半)

1.はじめに

「全瓦連技能グランプリ2018九州大会IN福岡」。
この大会は、全日本瓦工事業組合によって行われ、全国の選ばれし瓦葺き師たちが、同じ課題をいかに正確に、美しく葺けるかを競うものです。
 
今大会の概要については、「日本一の屋根瓦職人を決める大会!全瓦連技能グランプリ2018を観戦レポート!(前半)」をご覧ください!
 
https://yaneiroha.com/blog/?c=zoom&pk=59&obj_pk=1&obj_name=m_type
 
それでは実際の競技を見ていきましょう。

2.全瓦連技能グランプリ:準備(点検作業)(1日目:13:40~14:45)

技能グランプリ出場者の皆さまが、審査員の方の前に集まっています。
これから競技開始前の「点検作業」が行われます。
これは競技自体の公平性を保つもので、ボクシングの試合などの「計量」に似ているかもしれませんね。
 
審査員の方から説明が終わり、技能グランプリ出場者の皆がそれぞれの架台(瓦を設置する台)に戻ります。
そして出場者の皆が瓦をコンコンし始めます。
これはなんでしょうか?
 
ずばり。
これは屋根瓦にヒビがないかを確認する作業です。
競技に使う屋根瓦も審査員の方が確認はしていますが、念のため、瓦に何か不具合がないか出場者が確認しているのです。
 
ちなみに屋根瓦の製造メーカーも瓦を出荷する前に、「打音作業」と言われる点検作業をしています。その打音作業で問題のなかった屋根瓦だけが、最終的に屋根職人さんの元に出荷されるのです。

瓦のひびなどをチェックし終わったら、次は道具の確認です。
道具とはもちろん施工の際に用いる瓦槌やインパクト、たがねなどの道具もありますが、それ以外の「治具」と呼ばれるものも含まれています。
 
この「治具」とは何かというと、施工時に瓦を正確かつ素早く施工できるようにするための道具です。選手によって使用する治具は異なり、どんなものを使っているのかというところも見どころです。
 
しかし、こちらの治具。あればあるほど便利であるため、増えすぎてしまうということが起こります。
そこで、現在では、規定のサイズの箱の中に納まるものであれば使用可能とされています。このような治具も含めた道具の点検と競技委員によるチェックが入ります。

3.全瓦連技能グランプリ:競技(1日目:14:45~16:55)

そして、競技開始が刻一刻と迫るにつれ、会場内の緊張感も増していきます。
選手の中には準備運動を始める方もいれば、静かに待機をする方もいて、過ごし方もさまざま。
 
そしていよいよホイッスルの音とともに、競技スタートです!
スタートと同時に一斉に道具を取り出し、まずは瓦の選別、その後桟木という瓦を固定するための木材の取り付けを行ったり、他の道具を使いやすいところへ片付けたりと選手によって動きはさまざま。
指定の時間まで、施工が行われ、一日目は終了です。

4.全瓦連技能グランプリ:競技(2日目:9:10~10:45)

そして二日目がスタート。
残り時間は約5時間。
昨日よりも来場者が増え熱気を帯びた会場内には、各県の応援団の声援や観客の声、そして選手の用いるインパクトや瓦槌の施工音が響き渡ります。

ここで、実際に以前に瓦グランプリに参加された職人さんが今回応援で来場されていたので、今回のグランプリの施工でポイントとなる点をお聞きしました。
 
「審査員の方々が見るところは各々違いますが…」という前提付で一つお話されたのは、ケラバの角度が揃っているかどうかという点です。
 
ケラバは屋根の横側の箇所のことを指します。今回の課題では、そのケラバの端に使う瓦(「角瓦」と言います)が屋根の手前側と逆側で異なります。したがって、角瓦と合わせるためにケラバの角度も違ってくるので、その角度を一緒に見せるのが難しいとのことでした。
 
瓦職人の世界は非常に緻密な点の積み重ねなのだと実感したお話でした。

5.全瓦連技能グランプリ:競技(2日目:11:00~12:15)

休憩を挟んで、再び施工開始です。
そろそろ参加者の皆さんの架台が出来上がってきました!
 
ここでもう一つ、施工で難しい点をお聞きしました。
「桟瓦」と呼ばれる通常の箇所に使う瓦なのですが、ケラバという屋根の端に使う瓦との形が微妙に異なります。
 
どういうことかというと、日本瓦は中心が低くなっていて、瓦の外側が高くなっているのですが、その反り具合が全て一緒という訳ではないのです。
 
反り具合の一つ一つを見ながら、できるだけ、瓦同士の反りの具合が近いものを合わせていったり瓦の一部を削ったりすることで、一層綺麗な屋根に仕上がるということでした。
 
そんなことを今まで気にして屋根を見たことが無かったので、ここでも屋根瓦職人さんの技術への飽くなきこだわりを見た気がしました。

6.全瓦連技能グランプリ:競技(2日目:13:15~14:15)

いよいよ、ラストスパート。
最後の棟部分の施工が始まります。
 
この棟部分、実は地域や工事店によってわずかに違いが現れる部分なのです。
棟部分が山型にふくらんだ「起くり(むくり)」、反対に中心から外側に向けて跳ね上がるような「反り(そり)」という方法などの違いが見受けられます。
一般的には「反り」屋根の方が、地上から見上げたときに屋根の面積が大きく見え、屋根に豪華さが生まれると言われています。
 
さらに、棟部分に用いられる「のし瓦」という瓦の積み方にも違いがあり、のし瓦とのし瓦の間に隙間がある「蒸かし積み」という施工方法を用いる方もいれば、間を空けない方法で施工をする方もいます。
 
全国から選手が集まるからこそ、見ることができる「屋根の県民性」。
そういったところにも注目してみると、また新たな屋根のおもしろさを見つけられそうですね。
 
そして競技もいよいよ佳境を迎え、制限時間は残り10分。
施工を終え、瓦屋根や周辺の清掃に取りかかる方もいれば、制限時間いっぱい施工に時間を用いる方も。
 
それぞれの選手の額に汗が滲んでいるのが、周りからでも分かるほど、会場はヒートアップしたところで、競技終了の合図が響きます。
そして会場内には、競技を終えた選手に観客から激励の拍手が飛び交いました。

7.全瓦連技能グランプリ:審査(2日目:14:15~15:30)

競技が終わるやいなや。
会場内からは審査員以外は全員退場し、審査が行われます。
残念ながら、やねいろは事務局のスタッフを含め、会場に入ることはできないので、審査がどのような様子だったかは写真には映せませんでした。

8.全瓦連技能グランプリ:見学(2日目:15:30~16:30)

審査終了後、会場内では、各選手の作成した架台を間近で見学することができるようになっています。
競技中は見えなかった部分も間近で見ることができるので、これもまた一つひとつの違いが伺えて、とても興味深いものですよ。

9.全瓦連技能グランプリ:表彰式及び閉会式(2日目:16:30~17:15)

そして審査が終了し、いよいよ結果発表。
各賞が次々に発表され、それぞれの健闘が讃えられました。
 
今大会で優勝に当たる国土交通大臣賞を授与されたのは岐阜県から出場された選手でした。
ちなみに、特に優秀な成績を収められた方々の以下の地域から参加された方でした。
 
国土交通大臣賞:岐阜県
厚生労働大臣賞:福岡県②
総務大臣賞:大阪府

10.全瓦連技能グランプリ:観戦者の感想(株式会社CLUE 明正剛典さん、表瓦株式会社 表宏明さん)

大会が終わった後。
観戦者の方に感想をお聞きしました。
 
まず初めに初めて全瓦連技能グランプリを観戦した株式会社CLUEの明正剛典さん。瓦葺き初めて近くで見学したという明正さんに、どのようなことを感じたかを尋ねました。
 
「はじめてこの大会の観戦をしました。実際に見てみて、こうやって屋根はできあがるのかと、これまで見えなかったところを知ることができておもしろいなと感じました。瓦の下にはどんなものが敷かれているのか、棟瓦の中はこんな構造になっているのか、そんな一つひとつに驚きましたね。また、会場には実際に瓦葺きを体験できるブースがあり、そこで実際の瓦を持ってみて重さを体感できたり、瓦にひびが入っているものと入っていないものだと音が全く異なるということも教えていただけたりと、観るだけでなく、触れたり聞いたりと楽しむことができました。徐々に屋根のことについて知っていく中で、瓦屋根っていいなぁと思うことも増えましたね。自分の家の屋根って見えないからこそお金を掛けたくないと思ってしまいがちですが、これだけ職人さんたちの技が詰まったものだと分かれば、屋根の見方も変わります。これまで関心がなかったという方も、興味をもつきっかけになるんじゃないかなと思いましたね」。

次に、全瓦連技能グランプリの観戦経験も豊富な、表瓦株式会社の表宏明さんにも感想を伺いました。
 
「今回の課題であった切妻の屋根は、シンプルかつ見せる部分が多くごまかしがきかないのです。簡単そうに見えて難易度の高い課題だと思いますよ。そして制限時間もいつもと比べて短くなっていたと思うので、この時間でこれだけの完成率はすばらしいと思います。(これまでは制限時間内に完成するのは全体の8割ほどであったが、今回は9割を超えたとのこと)また、実際に完成した架台を見ていくと、それぞれの地域の特色も見えてきます。例えば、屋根の棟部分がすこし膨らんだように見える『むくり』という施工をしている方もいれば、棟の中心から外側に向けて跳ね上がるような『そり』というような施工をしている方もいます。田舎の方の家になると、『そり』屋根が多いのです。これは、下から見たときに屋根の面積が大きく、豪華に見えるからなのですよ。そして、棟部分に用いる『のし瓦』という瓦の施工方法も、選手によって異なります。のし瓦とのし瓦の隙間を開ける『蒸かし積み』という工法を用いる方もいれば、間に隙間を空けない工法を用いる方もいます。全国から職人が集まるので、そういった地域や工事店ごとの違いを見ていくのもおもしろいですよ」。

11.全瓦連技能グランプリ:まとめ

全瓦連技能グランプリは、一般の方でも気軽に観戦することができます。
そして、出場選手はこの日のために日々特訓を重ね、さらに、同じ県の先輩や組合員の方々のサポートを受けながら当日を迎えています。
そのため会場内はある種スポーツ大会のような緊張感も漂っていますが、普段は見る機会の少ない屋根の出来上がり方を知ることができます。
 
きっと、屋根の見方が変わる、そんな体験ができるはずです。
お近くで開催される際はぜひ一度大会を覗いてみてくださいね!

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